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もふもふ好きのおっさん、異世界の山で魔物と暮らし始める  作者: あろえ
第二章

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116/122

第116話:旅の準備Ⅱ

「ウサ太はどうする? 王都となると、カルミアの街よりも人口が多くて、危険だと思うんだが……」

「きゅーっ! きゅーっ!」

「そうだよなー……。ついてくるよな……」

「きゅっ!」


 護衛は任せろ、と言わんばかりに凛々しい表情を浮かべるウサ太が一番の問題だった。


 これまで俺は何度も危険な目に遭っているため、心配性のウサ太がついてこようとするのも、無理はない。


 当日までに大丈夫だと言い聞かせても、後で追ってくる恐れがあるので、同行させる方が無難な気がした。


「人がいる場所に関しては、俺よりもウサ太の方が危険なんだぞ。バレないように工夫しなければいけないから、そこはちゃんと協力してくれるか?」

「きゅーっ!」

「……わかった。約束してくれるなら、ルクレリア家に掛け合ってみるよ」

「きゅーっ! きゅーっ!」


 すでにフィアナさんとウサ太は面識があるため、安全な魔物だと認識してもらえていることだろう。


 問題は、ルクレリア公爵だが……俺の弱みを握るという意味でも、断られるとは思えない。


 借りを返す良い機会だと思い、二つ返事で了承してくれる気がした。


 ただ、王都に魔物を連れ込む、という前代未聞の珍事ではあるので、ウサ太にはよく言い聞かせておく必要がある。


 もしも誰かに気づかれてしまったら、取り返しがつかないほどの大事件に発展してしまうのだから。

 

「人を見かけたら、自分のことは置物やぬいぐるみだと思って、絶対に動かないようにするんだぞ。もし身の危険を感じたとしても、スキルで防ぐだけにしてくれ。俺がそのスキルを使ったことにすればいいからな」

「きゅー!」

「そんな事態に陥ることはないと思うが、念のためだ。ちなみに、ウサ太が魔物だとバレた時点で、俺は犯罪者として扱われる可能性が高い。アーリィやクレアにまで被害が及ぶ恐れもあるから、くれぐれも気を付けてくれよ」

「きゅ、きゅ……」


 そ、そんなことになるんですか……と言っているかのように、ウサ太は戸惑っていた。


 しっかりと教え込んでおかないと大変な目に遭いそうなので、当日までに魔物だと気づかれないような策を練っておくことにしよう。


「ウサ太は連れていくとして……。ニャン吉はどうする?」

「ニャ!? ニャウニャウ」


 臆病な性格であるニャン吉は、大きく首を横に振った。


 この拠点での暮らしにも慣れてきたところだから、このまま優雅に暮らしていたいんだろう。


 今回の旅は魔物にとって危険なものになるので、それが賢明な判断だと思った。


 テイムしていない軍隊蜂を連れて行くことはできないし、トレントの爺さんは……問答無用で留守番である。


 しばらく花の世話ができなくなるから、そのあたりは軍隊蜂にも伝えておこう。


「イリスさんはどうされますか?」

「せっかくだけれど、私はしばらくここに滞在させてもらうわ。どうしても軍隊蜂のことが気になるのよね」

「わかりました。では、お願いするのもなんですが、ニャン吉やトレントの爺さんたちのことも気にかけてやってください」

「ええ。それくらいであれば、お安い御用よ」


 イリスさんに任せられるのであれば、この山で暮らす魔物たちのことは心配しなくてもいいだろう。


 どうせなら、旅を楽しむくらいの気持ちでいた方がいいのかもしれない。


 初めて異世界で遠出するんだから、少しばかり羽を伸ばしても罰は当たらないはずだ。


 そんなことを考えていると、何やらイリスさんに言いたいことがあるのか、アーリィが眉間にシワを寄せている。


「前から気になっていたんだけど、いつから師匠は魔物を研究しているんですか? 私と一緒に旅をしていた頃は、魔物や盗賊を討伐してばかりでしたよね」


 ドッキーン! として背筋を伸ばしたイリスさんは、やっぱり爪が甘かった。


 アーリィの質問に対して、明らかに挙動不審になっている。


 女神様として、魔物の生態系を管理しているなど、口が滑っても言えない。


 魔物に関わること自体が不自然な行為なので、非常に答えにくい質問となっていた。


「ト、トオルさんの影響を受けたのよ。ア、アーリィちゃんも似たようなものでしょう?」

「うーん……まあ、確かにそうですね」


 奇跡的に言い逃れがうまくいった瞬間である。


 後々掘り返されると大変なことになりかねないので、一応、保険もかけておこう。


「イリスさんには、魔物のことについて相談していたことがあるんだ。実際に魔物と戦う冒険者から情報をもらって、仲良くなれそうな魔物を選別していたような感じだな」


 実際にイリスさんには、魔物と仲良くなれる能力がないか相談したし、敵対しそうにない軍隊蜂の縄張りに届けてもらっている。


 一応、これでも嘘ではない。……解釈の幅を広げれば、ギリギリで。


「ふーん。師匠とトオルって、意外に長い付き合いなのね」

「長い付き合いというより、深い付き合いだな。それなりに信頼関係を築いているような感じだと思ってくれればいい」

「そ、そうね。私とトオルさんの仲だものね。さ、さて。私は軍隊蜂の様子を見に行ってくるわ」


 これでアーリィの疑問を解消できたのかはわからない。


 ただ、相変わらずアドリブに弱いイリスさんは、墓穴を掘らないように早々と退散するのであった。

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