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もふもふ好きのおっさん、異世界の山で魔物と暮らし始める  作者: あろえ
第二章

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115/122

第115話:旅の準備Ⅰ

 ルクレリア家との話し合いを終えて、俺とアーリィは拠点に戻ってきた。


 ルクレリア公爵の話に乗った以上、異世界で暮らし続けてきたこの山をしばらく離れなければならない。


 いろいろと心配する気持ちはあるものの、異世界の王都に向かうワクワクした気持ちもあるため、俺は前向きに考えている。


 このまま漠然とした不安を抱えながら暮らし続けるより、ルクレリア家の助力を受けて、国に掛け合うのも悪くないと思っていた。


 ましてや、この機会を逃したら、国と掛け合うチャンスすらなくなってしまう恐れがあるのだから。


 ただ、これはもう、俺だけに関わる問題ではない。


 今度の動向について相談するべく、アーリィと共に、イリスさんとクレアと向かいあっている。


「ルクレリア家に相談してきた結果、彼らと共に王都の会議に参加することにしました。軍隊蜂を管理するという名目で、国に認めてもらうように動いてみようと思います」

「この時期に公爵家が参加するような会議なら……。王都の名前にちなんだ『アルメリート会議』のことかしら。随分と思い切った行動を取ることにしたのね」

「勝手に決めてしまって、すみません。冒険者の問題が長期化したり、国が騎士団を派遣してきたりすることを考えると、先手を打っておいた方がいいのかなと思いまして」

「そうかもしれないわね。この件は私も関係しているから、手伝えることがあれば、言ってくれるとありがたいわ。といっても、相手が国であれば、下手に動くわけにもいかないのだけれど」

「いえいえ、その気持ちだけでも十分です。ありがとうございます」


 イリスさんが女神である以上、人間社会に深く関わることができないことは、俺がよく知っている。


 人を魔物化させるアイテム『魔血薬』のようなものが出てこない限り、彼女を頼るつもりはなかった。


 いつまでも女神様におんぶに抱っこで過ごすわけにはいかないからな。


「そういえば、アーリィはどうするつもりなんだ? フィアナさんといろいろ話していたみたいだが」

「ルクレリア家から護衛依頼を回してもらう約束をしてきたから、私も同行するわ。もちろん、クレアも一緒にね」

「わーいっ! 久しぶりの遠出だ~!」


 両手を高く挙げて喜ぶクレアは、目をキラキラと輝かせている。


 アーリィと旅をしてきた日々は、彼女の中でとても良い思い出になっているのかもしれない。


「トオルと一緒に旅をするのも、これが初めてだね!」

「そうだな。旅の先輩として、頼りにしているぞ」

「任せて! 街道のマナーを教えてあげるね!」


 初めてカルミアの街に足を運んだ時でも、クレアには助けられることが多かった。


 俺が異世界の情報や作法に疎い分、今回の旅でもフォローしてくれるはずだ。


 なんといっても――。


「これでクレアも本格的に魔法使いとして活動するんだな」


 攻撃魔法を扱えるようになったクレアは、子供とはいえ、もう一人前の冒険者なのだから。


 これには、同意するようにアーリィも頷いている。


「そうね。冒険者として生きるためにも、早めに実践経験を積ませておきたいわ。フィーちゃんにも許可をもらってきたから、今回の依頼では魔物と戦ってもらうつもりよ」


 冒険者の師として、アーリィもできる限りのことはしてあげたいんだろう。


 イリスさんが自分にやってくれたことを、クレアに返してあげようとしていた。


「えっ……?」


 なお、肝心の本人は呆気に取られている。


 まだまだ見習い魔法使いの身だと思っていたことは明らかで、心の準備が出来ていない様子だった。


「う、うん。そ、そうだよね。そ、そう思ってたよ? ま、ままま、魔法使いだもん。魔物は、コ、コテンパンに倒すよ?」


 不安でいっぱいな心境を表すかのように、震える手で杖を握りしめたクレアは目が泳ぎまくっている。


「なあ、アーリィ。本当にクレアは大丈夫なのか?」

「問題ないと思うわよ。今まで何度も魔物と対峙してきたもの。誰でも最初は怖いと思うけど、次第に慣れてくるわ」

「まあ、確かに俺もそういう気持ちは芽生えているな」

「トオルと魔物の関係は、ちょっと違うと思うけど……。でも、クレアも魔物と慣れ合うっていう経験をした以上、何とも言えない感情があると思うわ。そのあたりは、早めに修正してあげないと、ね」


 アーリィの言う通り、現状がイレギュラーな状態であり、普通は魔物と戦うことを考える必要がある。


 今後、クレアが独り立ちした時のことを考えると、魔物と仲良く暮らすことに慣れすぎるのは、考えものなのかもしれない。


「よ、よよ余裕だけどね。だ、だって、魔法使いだもん」

「……」

「……」


 クレアは本当に大丈夫なのか、とても心配だ。


 魔物との戦いは、僅かながら俺の方が先輩みたいなので、そっちは手助けしてやろうと思った。


 まあ、アーリィもいてくれるから、大きな問題に陥ることはないだろう。


 どちらかといえば、問題は――。


「ウサ太はどうする? 王都となると、カルミアの街よりも人口が多くて、危険だと思うんだが……」

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