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どうやら世界が繋がったらしい  作者: 天城 在禾
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大変お久しぶりです。

このままだとエタりそうなので、書き貯めてある分を放出してしまおうと思います。

読んでくださる方がいるか謎ですが…

ついでに作者には銃器の知識はほとんどありません。

それでも良いという方はこのまま読んでくださると嬉しいです!

 

 

 

 

彼女から、「死んでもいい覚悟はあるか?」と問われ、大貴は頷いた。

元より、こんな世界になってしまったんだからいつ死んでも可笑しくないことは分かっていた。

覚悟なら、目の前で友人が喰われた時、出来ている。

大貴の目を見た彼女は無表情になってしまった。

何かしてしまっただろうか。

不安になったが、それでも彼女から目を反らすことはしなかった。


「…いいぞ。着いてきても」

「!…よっしゃぁ!」

「ふっ。何が嬉しいんだか。高橋…大貴は自分から死地へ向かうんだぞ?」

「…あ!今大貴って…!」

「あぁ、高橋君だなんて長いだろ。それに一緒に行くんだしな。名前で呼ぶよ」

「はい!」


彼女が少しこちらに心を開いてくれたようで、大貴は嬉しかった。

きっと、今の彼女には心を許せる人はとても少ないんだろう。

だから、心を許していてもいいはずの兄弟とあんな傷つけ合いをするのだ。

俺たちのために戦う彼女に、少しでも安寧の時間をあげたかった。


「…とりあえず、大貴にはいろいろ教えなきゃな」

「…はい!」


彼女は大貴の返事に笑った。


「大貴ってさ…犬みたいだよなぁ」

「え!?いやいや!犬って…」

「まぁ、気にすんな。悪い意味じゃない。先ずはあの化け物どもについてだが…」


さらっと彼女は犬発言を流し、大貴に話し始めた。


「あの化け物どもを私は異形と呼んでる。理由としては私が最初に行った世界でそう呼ばれていたからだけど…まぁ、好きに呼べばいい。異形ってのはなかなか厄介な生き物で、核を壊さなきゃ死なない。とは言っても攻撃しても意味がないわけじゃない」


大貴は今まで見てきた化け物どもを思い出す。

確かに幾ら攻撃しても死なない奴らばかりだった。


「攻撃すればするだけ弱る。その分あいつ等の攻撃力も減るしな。核の場所だが、異形によって異なる。だけど大体は頭か心臓だ。希に二つ以上ある奴もいるが、一つを壊せばあいつ等の力は半分以下になる」

「えーっと、じゃあ、とりあえず核をぶっ壊せばいいんですか?」

「あぁ。で、その核ってのはこれだ」

「…え!?それって…!!」


恭禍はズボンのポケットから赤い石を取り出す。

大貴は思わず声を上げた。

それは、恭禍が集め、食べていたあの赤い石だったからだ。


「厳密には核だった物だが。この核には魔力…私が使う不思議な技の元となる力のことな。それが圧縮されてできたものだ。だから私はこれを食べてたんだが…」

「だが?」

「…めちゃくちゃ苦い。だから正直食べたくない」

「…いや、あの。そんなこと言われても…」

「…食べたくないが、見つけたら私にくれ。これがないと京都の結界もここの結界も維持できるか分からん」


彼女は味を思い出したのか、眉を顰め奥歯をぐっと噛んだ。

相当嫌いらしい。

それよりも、彼女がこの教会に結界というものを施していることに驚いた。

京都という巨大な大地に張るだけでも大変だろうに、二つにも分けているとは。


「…大丈夫なんですか?」

「大丈夫なわけねぇだろ。おかげでアルクスは1日3回くらいしか使えねぇし。他の魔法もほとんど使えない。ほんといい迷惑だ。あいつ等さっさと帰ればいいのに」

「…恭禍さんって、実は愚痴っぽい…?」

「…悪かったな」


恭禍の素の様子だろうか?

それを感じさせる彼女の態度に、大貴は嬉しくなってにやにやと口元を歪めていく。

それを見つけたらしい彼女は、大貴の頬をぐいっと引っ張った。


「いっ!」

「何か腹立つな…まぁいいか。これから大貴にはいろいろやってもらうことがあるから、そこで発散しよう、うん」

「え、えぇぇ!!?酷いですよ!」


彼女は少し笑って大貴の頬から手を離した。

その笑みが自然な笑みのようで、大貴はもう一度微笑んだ。








恭禍は目の前の結果に、考え込んだ。

大貴はそんな恭禍の様子に不安になったのか、オロオロとしている。


恭禍と大貴は今、弓道場に来ていた。

恭禍は大貴がどれほど“使える”のか気になっていた。

本人は強くないと言ったが、拓真が認めていなければ一番危険な扉の開閉役など任されることはないだろう。

…まあ、反対に使えなさ過ぎてあの役を貰ったのかもしれないが。

話を聞いてみれば、大貴は弓道部だったらしく、そのため拓真と仲が良かったらしい。

拓真は勾槻家を誇りに思っていたから統真に倣って武道をやっていたのだろう。

恭禍は先ず大貴に弓を持たせ、矢を打たせた。

なかなかの腕前で、10本打たせた中でほとんどの矢は真ん中のほうに当たった。

それから持ってきた拳銃を渡し、同じように的に撃たせた。

悪くない。それどころか良い。

5発撃たせ、そのうち3発は真ん中のほうに、残りの2発も的の中に止まっている。

それから軍用車の中にあった様々な銃器を持たせてみたが、なかなか上手い。

あとはどれだけ実戦で使えるか、だが…


「…ライフルは固定しないといけないから却下だな。そんな暇はねぇし。となるとやっぱり拳銃か機関銃か…打撃を与えることを優先するならロケットランチャーか?」


余談だが、ロケットランチャーは使用していない。


「…俺は拳銃がいいんですけど…」

「…なるほど。理由は?」

「えっと…一番軽いし。動きやすそうだと思って…」

「わかった。じゃあとりあえず拳銃と機関銃を持って実戦するか」

「…えぇ!?」


嫌がる大貴を連れて、車で町まで向かう。


「そういえば恭禍さんってお幾つなんですか?」

「19」

「え、思ったよりも若いんっすね」

「それ失礼だからな?」

「そっか…じゃあ免許も持ってますよね?」

「は?免許なんて持ってないぞ」

「…はぁぁぁ!?じゃあ車の運転は…」

「別の世界で散々練習した。今なら上級免許も取れる気がするな」


恭禍は大貴の驚きように笑った。

こんなふうに笑うのが随分久しぶりに思えてしまう。

3日4日前は普通に笑っていたのに。

多分、そんなことをお互いに思いながら恭禍と大貴は町へ降り立った。

恭禍の横で、大貴は3日ぶりの町の様子を見て言葉を失っていた。

確かに元の状況の町と比べたら悲惨な状況なんだろう。


「そ、んな…」

「大貴、来るぞ」


茫然とする大貴の腕を引き、恭禍自身もクローディアを構えた。

ここにいるのは雑魚だけだ。

力の強いやつは恭禍がほとんど倒してしまっている。

大貴の横に立ち、拳銃を構えるように指示を出す。

大貴は震えながら拳銃を構え、建物の影から飛び出してきた犬に似た異形に向かって撃った。


「大貴!ちゃんとあいつらの動きを読め!手震わせてる暇あるなら頭使え!」


大貴が撃つ弾は大体当たらない。

当然である。

はじめてで当てられる方がおかしいのだ。

大貴に飛びかかる異形を恭禍はクローディアで一掃した。


「…まぁ、悪くはないな。初戦で撃てるなら充分だ。まだ来るぞ、次は当ててみろ」


大貴が震えながらも頷くのが見えた。





 




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