エピローグ1 『恋愛相談キャラ』と後輩オタクのこれから
放課後、俺は凛と久しぶりに図書室で待ち合わせをしていた。
今日こうしてまたオタク仲間として彼女と話すのを、俺は心から楽しみにしていた。
「先輩!お疲れさまです!」
図書室に入ると、すでに凛は本を広げて待っていた。
俺を見ると、いつもの明るい笑顔で手を振ってくれた。その姿にホッとする。凛は変わらず、いつもの彼女だ。
「お疲れ、凛。待たせたかな?」
「全然ですよ!それより、今日は先輩に見せたい新作があるんです!」
凛はテンション高めに、すぐに手にしていたラノベの新刊を俺に見せてくれた。
彼女の目はキラキラしていて、楽しそうに話し始めた。それを見て、俺は少しだけ胸の奥が温かくなるのを感じた。
凛は、凛のままだ。
「この新刊、すごく面白いんですよ!特にキャラクターの成長がすごく丁寧に描かれていて……」
いつものように、彼女は話し始めたら止まらない。
俺もその話に乗っかり、ついつい興奮してしまう。こうしてオタク話で盛り上がるのが、俺たちの「いつも通り」の関係だ。
だけど、心のどこかで凛がどう思っているのか気になっていた。俺を好きだと言ってくれた彼女。その後、彼女はどう感じているのだろうか──。
そんなことを考えていると、突然凛が話題を変えた。
「ところで、田中先輩。」
凛が急に真剣な表情をして、俺をじっと見つめてきた。その瞳に、少しドキッとする。
「先輩、水瀬さんと付き合い始めたんですよね?」
俺は一瞬戸惑ったが、隠すこともないし、頷くことにした。
「ああ、まあ、そうだな。」
凛はそれを聞いて、少しだけ寂しそうな表情を見せたが、すぐに明るい笑顔に戻った。
「やっぱり!おめでとうございます!田中先輩、本当に幸せそうですもん!」
「ありがとう……凛も、そう思うか?」
「もちろんです!でも……」
凛は少し言葉を止め、何かを考えているようだった。俺も少し緊張して、彼女の言葉を待つ。
「──でも、私はまだ諦めてませんからね!」
その言葉は、どこか冗談のようにも本気のようにも聞こえた。彼女の笑顔には明るさが戻っていたが、その裏にある本音も感じ取れた。
「凛……」
「大丈夫です、先輩。私、ちゃんと前を向いてますよ。だけど、もし先輩が結花さんとうまくいかなくなったら……その時は、もう一度私のことを考えてくださいね!」
彼女の言葉に、俺は笑ってしまった。凛は、本当に強い子だ。
彼女の気持ちを無碍にしないようにしなければならないと感じながらも、今こうして冗談っぽく言ってくれることが嬉しかった。
「お前は強いな、本当に。ありがとう、凛。」
「いえいえ!それより、今はオタク仲間として、田中先輩を支えますから!」
凛は明るい笑顔を見せて、ラノベの話に戻った。
こうして彼女と一緒に過ごしていると、俺たちの関係は変わらないんだと感じる。凛とのオタク仲間としての時間は、これからも続いていくんだ。
「でも……先輩も、たまには私の相談に乗ってくださいね?」
「もちろんだよ。いつでも相談に乗るよ。」
「やった!それじゃあ、また新しいおすすめの作品、教えてくださいね!」
凛は笑顔でそう言い、俺たちは再びオタク話に夢中になった。これからも、凛との関係は変わらない。
彼女は前を向いて、新しい一歩を踏み出そうとしているんだ。
俺たちの関係は変わらない──だけど、これからも互いに成長していく。それを強く感じた一日だった。




