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『恋愛相談キャラ』の俺がクラス一の美少女から恋愛相談を受けていたらいつの間にか仲良くなっていた件。  作者: こうと


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第69話 それぞれの告白

 公園のベンチに並んで座る私たち。


 目の前には静かな風景が広がっていて、少し冷たい風が頬に触れた。今日はこの場所を田中くんが選んでくれた。


 いつもと違う、少し落ち着いた雰囲気の中、私は心の奥で決めていたことを口にしなければならない。


「田中くん……今日は、話したいことがあるんだ。」


 そう言うと、田中くんは少し驚いた顔をして、真剣にこちらを見つめた。


 私がこうして改まって話を切り出すのは珍しいから、当然だろう。でも、これ以上は曖昧なままでいられない。


「……実は、ずっと相談していた気になる人のことなんだけど……」


 私の心臓はドキドキと早鐘を打っている。


 これまで何度も田中くんに恋愛相談をしてきたけど、肝心の「気になる相手」の名前を伝えたことはなかった。


 だけど、今こそそのことを言わなきゃいけない。だって、その「気になる相手」は──。


「……その人って……」


 言葉が詰まる。田中くんは真っ直ぐ私を見つめている。


 その目は優しくて、でもどこか緊張しているようにも見えた。私は一瞬、言葉を飲み込んだけれど、もう引き返すことはできない。


「──その人って、田中くんだったんだ。」


 そう言った瞬間、田中くんの目が驚きで見開かれた。彼は何も言わず、ただ私の言葉をじっと聞いている。


「最初は、ただの興味だったの。田中くんがみんなの恋愛相談に乗ってて、どうしてそんなに頼りにされているのかが気になって……それで、冗談半分で相談してみたの。でも、田中くんと話してるうちに、気づいたら私の気持ちが変わってた。」


 心臓の鼓動がさらに早くなっていくのを感じる。今までずっと隠してきた気持ちを、ついに口に出している。


 そのことが私を緊張させていたけれど、もうこの溢れ出す気持ちは止まらない。


「田中くんは、いつも真剣に相談に乗ってくれて……その優しさに、私、どんどん惹かれていったの。だから、本当は……最初から、気になってたのは、田中くんだったんだ。」


 その言葉が自分の口から出た時、胸が軽くなった気がした。


 ずっと抱えていた秘密が、ようやく解放されたような感覚。でも、その一方で、田中くんの反応が怖くて、緊張は収まらない。


「──私、田中くんのことが……好きです。」


 ついにその言葉を口にした。心の中で何度も繰り返してきた言葉。


 でも、いざ本人に伝えるとなると、こんなにも緊張するものなんだと改めて実感した。


 田中くんはしばらくの間、何も言わずにじっとこちらを見つめていた。彼の表情が読めなくて、私は思わず視線を逸らしそうになる。


 でも、目をそらさない。彼がどう思っているのか、どんな答えを返してくれるのか、ちゃんと知りたかったから。


 やがて、田中くんはゆっくりと口を開いた。


「……そっか。」


 その一言に、私は少しホッとした。でも、まだ彼の本当の気持ちは聞けていない。


 彼は何を思っているんだろう?この告白が、どう受け取られたんだろう?


「水瀬……ありがとう。」


 田中くんは少し困ったような、でもどこか安心したような表情を見せた。私の気持ちは確かに伝わった。それは分かった。でも──。


「田中くんは……どう思ってるの?」


 その質問を、私の口から絞り出した。


 彼がどう感じているのか──それを知るのが、私にとっては最も大切なことだった。




 ******




「田中くんは……どう思ってるの?」


 水瀬の問いかけが、俺の胸に響いた。


 彼女の告白を受けて、今度は俺が自分の気持ちを伝える番だ。それが分かっていながら、頭の中でこれまでのことが一気に思い出された。


 これまで、俺はずっと「恋愛相談キャラ」として友達の恋愛に関わってきた。


 誰かの相談に乗って、アドバイスをして、その結果を見守る。それが俺の「居場所」だと思っていたし、恋愛を客観的に見つめることに安心していた。


「俺さ、今までいろんな人の恋愛相談に乗ってきたんだ。友達に頼られて、それが嬉しかったし、役に立てることが自分の価値だと思ってた。友達の恋愛を陰から支えて、成功すればそれで良かったんだ。」


 俺は少し微笑んで、水瀬に視線を向けた。彼女は静かに俺の話を聞いている。


「でも、ずっと思ってたんだ。俺自身はどうなんだろうって。人の恋愛をサポートするのは楽しかったけど、俺自身が恋愛に向き合ったことはなかった。むしろ、そういう立場にいることが楽だったんだ。」


 正直なところ、俺自身は恋愛から距離を置いていた。自分の感情を表に出すことはなく、ただ友達のために頑張っていればそれで十分だと思っていたんだ。


「だけど、水瀬に出会ってから、少しずつ自分の中で何かが変わってきたんだ。」


 言葉を絞り出しながら、俺は自分の胸の中にある気持ちを探っていった。


 水瀬と一緒に過ごす時間が増えていくうちに、彼女への気持ちが次第に大きくなっていった。


「最初は、相談に乗るだけの関係だったよな。水瀬が誰を好きなのか、気になってた。でも、それを知りたいって思うのは、単に相談に乗るためだけじゃなくて……水瀬自身のことが気になっていたからなんだ。」


 水瀬は驚いたように俺を見つめていたが、俺は続けた。


 凛との出来事を振り返る。彼女の真剣な気持ちを無碍にしないように、真剣に向き合ったあの時のことが、今でも胸に残っている。


「──結局俺が好きだったのは、水瀬だったんだ」


「……!」


 俺はそこで言葉を止めた。水瀬は優しく頷き、何も言わずに聞いてくれている。


「だから、俺も自分の気持ちに向き合うことにした。ずっと他人の恋愛に向き合ってきたけど、自分の恋愛は避けてきた。でも、水瀬と一緒に過ごしていくうちに、自分も恋愛に向き合わなきゃいけないって気づいたんだ。」


 俺は少しだけ緊張しながら、彼女の目を見つめる。そして、静かに言葉を紡いだ。


「俺も……水瀬のことが好きだ。」


 その言葉を口にした瞬間、緊張が一気にほどけた。


 ずっと胸の中で抑えていた感情が、今やっと外に出た気がした。水瀬が驚きの表情を見せたあと、少し微笑んでくれた。


「本当に……?」


「うん。水瀬のことが気になってたのは、俺も同じなんだ。」


 水瀬の目には少し涙が浮かんでいたが、彼女は嬉しそうに笑った。その笑顔を見て、俺の胸の中が温かくなった。


「ありがとう、田中くん。」


 水瀬はそう言って、涙を拭いながら微笑んでいる。


 その姿を見て、俺は少し照れくさくなりながらも、自分の気持ちを伝えられたことに満足していた。


「これからは……お互いに、もっと正直な気持ちでいような。ちゃんとお互い向き合っていこう。」


 俺の言葉に、水瀬は静かに頷いた。


「うん、これからもよろしくね、田中くん。」


「こちらこそ、よろしく。」


 そうして、俺たちはお互いの気持ちをしっかりと確認し合い、これまでの「恋愛相談役」としての関係から、一歩進んだ新しい関係に踏み出した。


読んで頂きありがとうございます!残り3話ほどで完結です!!

最後までお付き合いよろしくお願いします!

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