第24話 え?それって恋じゃないの?
放課後、いつもの図書館で、俺は優奈の恋愛相談に乗っていた。中村君とのデートも無事に成功し、彼女の恋愛は少しずつ順調に進んでいるようだった。
純粋で真っ直ぐな彼女の姿勢を見るたびに、俺も何かを学んでいる気がする。
「田中先輩、本当にありがとうございます!おかげで中村君とももっと話せるようになって、毎日が楽しいです!」
優奈は笑顔でそう言いながら、目を輝かせていた。その無邪気な笑顔を見ていると、こちらまで元気が出るようだった。彼女の恋愛が上手くいっているのを見て、俺もなんだか誇らしい気持ちになった。
「よかったな、優奈。少しずつ仲良くなれてるみたいで安心したよ。」
「はい!でも、最近気づいたんです……私、もっと中村君のことが知りたいんです!」
その言葉に、俺は一瞬戸惑った。彼女は真剣な表情で続ける。
「彼の好きなこと、彼がどんな時に笑うのか、何を考えてるのか……もっと、全部知りたいんです。」
その言葉に俺は、胸の奥が少しざわついた。優奈の純粋な想いに、ふと自分のことが重なった。
俺も最近、水瀬のことを考えることが増えている。彼女が何を考えているのか、どんな時に笑うのか――もっと知りたいと思っている自分がいることに、また今気づかされた。
「もっと知りたい……か。」
俺は呟くように言った。それに気づいた優奈が、興味津々の表情でこちらを見てくる。
「田中先輩も、誰かのことをもっと知りたいって思うこと、ありますよね?」
優奈は無邪気に問いかけてくる。俺はその質問に、一瞬どう答えていいか迷った。だけど、彼女の純粋な目を見ていると、嘘をつくわけにはいかない気がして、正直に答えることにした。
「……そうだな。確かに最近、誰かのことをもっと知りたいって思うことは、あるかもしれない。」
俺がそう言うと、優奈は驚いたように目を輝かせた。
「えっ!?それって、恋なんじゃないですか!?」
その言葉に、俺は少し動揺した。恋――その言葉が、ずっと心のどこかに引っかかっていたのに、今までちゃんと向き合ってこなかった。でも、優奈の無邪気な問いかけが、俺を強引にその感情に向き合わせる。
「恋……か。俺が、抱いている気持ちが?」
水瀬の顔が頭に浮かんだ。彼女と話す時の緊張感、彼女が他の誰かと仲良くしているのを見た時のモヤモヤ――そして、彼女の笑顔を見た時の安心感。それらが全て、「恋」だと気づいていなかった自分がいた。
「でも、田中先輩……その人のことをもっと知りたいとか、そばにいたいって思うのって、やっぱり恋だと思うんです。」
優奈は自信満々に言ってのけた。その言葉に、俺は言い返す言葉が見つからなかった。優奈の言っていることが、核心を突いているように感じたからだ。
「……かもな。俺、今まで恋愛なんてしたことがないから、自分の気持ちに気づいていなかったのかもしれない。」
俺は少し自嘲気味に笑った。
「やっぱり!それって恋です!田中先輩も、私と同じじゃないですか!」
優奈は嬉しそうにそう言った。彼女の純粋さと無邪気さに、俺は少し笑ってしまった。自分が恋をしているかもしれないと気づかせてくれたのは、彼女の真っ直ぐな言葉だった。
「田中先輩、そういう気持ちは大事にしなきゃダメですよ!相手のことをもっと知りたいって思うなら、きっとその人も喜んでくれますよ!」
優奈の言葉が、胸に深く響いた。水瀬のことをもっと知りたいと思う気持ちを、無視し続けるわけにはいかない。
「……ありがとう、優奈。お前のおかげで、なんだか自分の気持ちに気づけた気がするよ。」
俺は心からそう言った。彼女の純粋さが、俺に自分の気持ちを見つめ直させてくれたのだ。優奈はその言葉を聞いて、満足そうに笑った。
「じゃあ、田中先輩も頑張ってください!私も中村君ともっと仲良くなれるように、頑張ります!」
彼女はそう言って立ち上がり、元気よく図書館を後にした。その姿を見送りながら、俺は自分の胸に芽生えた感情に向き合い始めていた。




