表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

73/95

第72話 喜ぶ人

「ステラ……本当に、カレンをデートに誘わなければならないのか?」


エドが3人の取り巻き男たちに囲まれて大学構内を歩いているカレンをイヤそうな目で見つめている。


「ええ、そうですよ。私の復讐を成し遂げる為には、カレンを彼らから引き離す必要があるのですから」


「そんなこと言ったって……」


エドは余程カレンをデートに誘うのがイヤなのか、ブツブツ口の中で何やら呟いている。


「どうしたんですか? 早く、カレンをデートに誘ってください。あの3人の見ている前で是非! いいですね? 出来れば、今日の放課後にでもデートしてくださいよ」


「え!? いきなり今日なのか!?」


「はい、善は急げです」


「分かったよ……だけど、ステラ」


真剣な目でエドがじっとみつめてくる。


「なんですか?」


「俺がカレンとデートしても構わないのか?」


「はい、少しも構いません」


「そ、そんな‥‥‥! 即答するなんて!」


何故かエドはショックを受けている。


「そんなことよりも早く、誘って来て下さいよ!」


「わ、分かったよ。行ってくればいいんだろう……?」


エドは恨めしそうな目を一瞬私に向けると、駆け足でカレンたちの元へ向かった。

すると、前方にいたカレンたちは足を止めて振り向く。

遠目からなので良く見えないが、エドはカレンに話しかけている。


「頼むわよ、エド…‥‥!」


私はその様子を見届けると、魔女の元へ向かった――




****



「あら? あなた、また来たの?」


相変わらず、何もないガランとした部屋で怪しげな本を読んでいる魔女が顔を上げた。


「はい、又来ました」


「言っておくけど、『魂の交換』についての情報は何も入っていないわよ。やっぱり次の魔女の集会迄待たなくちゃ……え? ちょ、ちょっと何……それは!」


私は魔女の前に、かつて自分が日本人の時に使用していた文明機器『スマホ』を取り出した。

しかも、この『スマホ』は会社から支給されたものであり実質私の物とは言えない。


「これは、私が『日本』で暮らしていた時に使用していた『スマホ』という、超便利なアイテムなのです。このボタンを押すと‥…」


「えっ! な、何! こ、これは何なの!? しかも動いているし、音まで聞こえてくるじゃない!」


魔女は興奮マックスで、食い入るようにスマホの画面に見入っている。ちなみに、今画面に映し出されているのは会社に内緒でインストールしたパズルゲームである。


「いいですか? これをこうやって、指で触れると動かせるんです。そしてここにはめると‥‥・」


「キャーッ! すごい! 面白い! 何、これ!」


生まれて初めて見るスマホにも、ゲームにもドはまりしている魔女。交渉するなら今だ。


「どうですか? 面白いですか?」


「ええ、面白いわ! 他に言葉で言い表せないくらいよ!」


「そうですか……。どうです? このスマホ、欲しくないですか?」


「え? ま、まさか……くれるの?」


「ええ、でも時折充電しないと使えなくなるので、その際はお預かりして充電しますけど……」


「欲しい! 欲しいに決まっているでしょう!?」


「なら、さしあげましょう。その代わり……」


「分かっているわ。ただでは寄こさないということよね? それで……私に何を望んでいるのかしら?」


魔女は意味深な笑みを浮かべた――


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ