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乙女な神官戦士と魔法学院教授の異世界法医学ファイル~ボク、スパダリでハーフエルフの先生と一緒に完全犯罪は見逃さないの!~  作者: GOM
第2部 第2章 フィンとミアはずっと一緒に。

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第28話(累計 99話) エピローグ1:ミアの幸せな日常。

 初夏の日が昇ろうとしている王都。

 一つ目の鐘の音が鳴り、街が起きだす。

 下町の市場には新鮮な野菜や果物、穀物が周辺の村々から搬入されてきている。

 また、加工済み獣肉や干物魚も大量に店先に並ぶ。


「ふぅ、今日も沢山仕入れたよねぇ、アンタ」

「ああ、そうだな。これも新しいグラニス子爵さまのおかげっていう話だぞ」


 食品販売の露店を営む夫婦。

 仕入れた各種食品を並べ、二の鐘が鳴るころまでに開店準備をする。


「ミアちゃんのせんせーって人だね。これまでグラニス領内で独占していた『空気から作る肥料』ってのを他のところにも広めてるって話ってアタシも聞いたよ。これで不作の年が減れば、万々歳さ」


「でもねぇ、あのお転婆泣き虫ミアちゃんが、実は帝国のお姫様。今度は子爵家のお嫁さん。警察に就職したって時はびっくりしたもんだけど、それが王国の危機を何回も救って、今や英雄姫なんだからなぁ」


 壮年夫婦は、幼い頃から見ていたミアが今や手が届かなくなるくらいの英雄になってしまったのを感慨深く思う。


「ウチの娘らも同じようになったらと思った事もあるけど、離れてくらすだろう親御さんの事を思えば、ウチは近くで結婚してくれて良かったわ」


「だな。中々孫の顔を見れない上に、平民のパン職人とお貴族様の貴婦人じゃ身分違いもあり過ぎだよ。なんでも、程々が一番さ」


 殆ど開店準備が終わり、並んで座る夫婦。

 既に孫も生まれてはいるものの、今も仲睦まじく生活をしている。


「ミアちゃんには、もう逢えないのかねぇ」


「しょうがないだろ。いつまでも下町の警備担当のはずは無いし……。大好きな先生とミアちゃんが結婚できることを祝ってやろうや」


 ミアの事を娘の様に思っていた夫婦。

 彼女の幸せを思い、もう身近で逢えないだろう寂しさを心の隅に追いやった。


「さあ、湿っぽい話はこれまで。今日もバシバシ商売するよ、アンタ」

「そうだな。開店するぞ!」


 第二の鐘が時計台から響く。

 周囲の露店、商店が店開きを開始した。


「さあ、さあ。いらっしゃいませ。新鮮な野菜どうぞ」


 朝から多くの客が市場に溢れる。

 最近では、貴族の仕入れ人が買い付けに来ることも多くなった上に、肩身が狭い暮らしをしていた金色の瞳を持つ元帝国民も王国民に混ざって市場に溢れる。


「今日もお互い、商売繁盛だねぇ。今晩用に夏野菜、予約しておいて良いかな?」


「いーよ。後でお宅の牛乳も宜しく頼むよ」


 隣りあった店同士で、お互いの商品を融通し合う。

 昔、ミアが警官になるまで市場では泥棒やスリ、詐欺や恐喝が何件も発生。

 隣同士の店であろうとも警戒を切れなかったのが、もうひと昔。

 平和な商売が営めるようになった。


「きゃあぁ!」

「ひったくりだ! 誰か兵士か警察を!」


 そんな平和な市場に悲鳴が響く。

 強引に財布を奪い、老婆を蹴倒す犯人。

 そのまま、走り逃げようとした。


「待ったぁぁ! ボクが王都にいる限り、悪い事は見逃さないよぉ」


 そんな時、市場の皆は聞きなれた少女の声が高らかに響き渡った。


「ミアちゃん!」


「たっだいまー。挨拶は後でね、さー、痛い目に遭ってからボクに捕まるのと、大人しく捕まっていたくないの、どっちを選ぶ? あれ、おにーさん。前にボクが逮捕した事無かったっけ?」


 屋根の上から飛び降りてきたミア。

 市場の人々に挨拶をしたのちに、ひったくり犯に真紅のロッドを突き付けた。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「ひぃぃぃ。ひ、姫騎士だぁぁ! ま、参ったぁぁ。降参するし、盗んだものはすぐに返す。だ、だから、痛いのは……」


 ミアの姿を見た犯人。

 怯えて尻もちをついて後ずさりしつつ、必死に命乞いをする。


「分かっているなら、もう悪い子としちゃダメだよぉ。ボクはね、これからも皆の幸せを守るんだ。だから、悪い事はメ、だよぉ!」


「は、はひぃぃ。だ、だから命ばかりは、お助けをぉぉ」


 腰抜け犯人に対し前屈みになりつつ、メと指を立てて叱るミア。

 その気迫を受けてすっかり無力化された犯人は、ズボンを謎の液体で濡らす。


「えー。ボク、悪い人は殴っても命を奪う事なんでしないよぉ。反省して、もう悪いことしなきゃ、いいんだし」


 その後、急ぎ現れた兵士に犯人を渡すミア。

 自分が必要以上に恐れられている事に首を傾げた。


「ミアちゃん、どうしたの?」

「先生と一緒に遠くに行ったんじゃなかったのかい?」


 そんなミアを囲み込む市場の人達。

 誰もが久しぶりに市場に現れたミアに対し、質問がいっぱい。


「しばらく市場に来られなくてゴメンね。何処に行ってたかは言えないんだけど、色んなところを冒険してきたの。でもね、これからはずっと市場や下町をボクが守るからね」


「え!? ミアちゃんは子爵様になった先生と結婚する為に、遠くの領地にいっちゃうんじゃなかったの?」


「そう思って、アタシらも寂しく思っていたんだよ。ああ、この触りごこちは確かにミアちゃんだよねぇ」


 市場のおばちゃんらに囲まれて質問攻めを喰らうミア。

 頭やら身体やら、沢山の手で揉みくちゃにされ、成すがままだ。


「そこも、あんまり詳しく言えないけど、そこも大丈夫になったんだ。あ、せんせー! ボクはココだよぉ!」


 飛び出していったミアを探していたらしいフィン。

 彼はマリー、老執事と共に市場の群衆をかき分けてミアに近づいた。


「先生、御出世おめでとうございます。で、いつミアちゃんと結婚なさるのかい?」


「こちらのお嬢様、もしかしてベルエ宮中伯でございますか? ミアちゃんを守って頂き、ありがとうございます」


 ミアだけでなく、フィン、マリーとも群衆らに歓迎される。


「えっとぉ。結婚ですが、まだミアくんが幼いですし私の職務の事もあります。しばらくは、現行のままですので、皆さん。ミアくんを宜しくお願い致します」


「お兄様、今日は御立派ですわよ。市場にお集まりな平民の皆さま、アタクシ。宮中伯として皆さまの安全、そしてミアちゃんの事を必ず守る事を宣言いたしますのよ、オホホ!」


「お姉さま。ボク、大丈夫ですよ? せんせーと一緒なら、例えドラゴン相手でも負ける気がしないもん!」


 ミアの返答を聞き、群衆から大きな笑い声が響く。

 その様子を見て、ミアたちも笑顔を浮かべた。


「みーんな、だーいすき!」

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