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乙女な神官戦士と魔法学院教授の異世界法医学ファイル~ボク、スパダリでハーフエルフの先生と一緒に完全犯罪は見逃さないの!~  作者: GOM
第2部 第2章 フィンとミアはずっと一緒に。

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第23話(累計 94話) 最終決戦3:マリー、改造怪人を制する!

「くそー、逃げちゃった。早く追いかけなきゃ! せんせー、先に行くね」


「ミアくん。うかつに隠し通路に飛び込んではダメだ!」


 ミアがカレエルを追いかけていくのを制止しようとしたフィンであるが、無鉄砲なミアは猪突猛進、通路の扉の向こう中へ飛び込んでいった。


「ミアくん! あー、もう。イノシシ娘なんだからぁ」


 毎度ながらあまり考えずに行動するミアに文句を言いながらも、フィンも部屋の奥、隠し扉がある壁に走り出そうとした。


「ぐがががぁぁ!」


 しかしフィンの目の前に、怪物と化したエドモンドが立ちふさがった。


「このバケモノめ。私のジャマをするな! <球電(ボール・ライトニング)>」


 フィンはミアが心配なのか。

 普段より言葉荒くしながら、杖より雷撃魔法をエドモンドに叩きつける。


「きしゃーーー!」


 しかし、魔物と化したエドモンドの咆哮一つで、フィンが撃ち出した雷撃が吹き飛ばされた。


「お兄様、落ち着きましょう。こやつ、対魔法能力を持っている様ですの」


「しかし、ミアくんが一人で奥に行ってしまった。このままでは……」


 普段は落ち着きはらっているフィンであるが、今は先行したミアの事が心配でたまらず、言動が荒っぽくなっている。


「フィン坊ちゃま。時として人は愛するものの活躍を見守る事も必要です。まずは落ち着かないと坊ちゃまの強みが見えないですぞ」


 普段なら側仕えとして発言を控えている老執事。

 彼は、長年仕えている兄妹を守るべく両腕に籠手付きジャマダハルを装備し、エドモンドへ攻撃を開始する。

 そして、ミアを信じて落ち着くようフィンへと諭した。


「……すまない、マリー、セバス。ふぅ!」


 フィンは大きく深呼吸をし、改めて怪物とかしたエドモンドを見た。

 エドモンドは暴れまわるが、目の前にいる敵を攻撃するのみ。

 今は老執事が戦っているので、フィンやマリーの方まで攻撃は飛んでこない。


「ふむ。攻撃に技というモノが感じられない。攻撃本能のまま、繰り出すのなら、魔法攻撃は考えにくいな。ヘイトを稼いでいるうちに遠距離降雨劇をしたいが、魔法が無効化されるのなら、厄介だな」


 エドモンド、彼は鋭いカギ爪の生えた剛腕を振り回す。

 その一撃は、大理石造りの床を削りとるほど、鋭く凄まじい威力を持つ。

 時折は、剛毛が生え先端部に爪と同じく鋭い角質を持った尾を振り回したり、突き刺す様に攻撃を行う。


「顔は虫のようだが、牙が生える。複眼で視界が広いのだろうが、詳細部が見えるのだろうか? ふむ、腹部に気門。昆虫の呼吸器官らしき部分があるな。口は小さいから呼吸に不具合でもあるのか? 更に背中から、虫のような副腕が生える。胴体は熊の様だが、一部が昆虫とは。まさしくニチ〇サ怪人の(たぐい)だなぁ」


 老執事が舞うように切り付け攻撃をするが、その分厚い剛毛の生えた皮膚に傷はつかないのか、血が飛ぶことも無い。

 時折、フェイント気味に背中から生える四本の副腕も突き刺し攻撃をしてくるのが、余計に厄介そうだ。


「お兄様。エドモンドの弱点、分かりましたか?」


「一見した感じだが、理性的な攻撃が出来ない以外は対して弱点は見られないな。魔法も効かない上に、あの皮膚装甲は強固だ。ただ、激しい運動量に対し呼吸が小さな昆虫状な口では足りないから、腹部にある気門で呼吸をしている。気門内は肺と同じく柔らかいであろうから、気門内部への攻撃。もしくは麻酔や毒を気門付近に散布させるのが効果ありそうだな」


 マリーに問いかけられ、フィンはエドモンドに対して弱点らしき部分を説明した。


「分かりましたわ。セバス、アタクシが出陣し、しばしエドモンド様のお相手を致します。その間に引火性の高いモノの準備をお願いしますわ。そうですわねぇ、火酒とかなら酩酊効果もありそうですの」


「マリー? 一体、何を言い出す!?」


「御意。フィン坊ちゃま、マリーお嬢様をしばしお願い致します」


 突然、マリーがとんでもない事を言い出したので驚くフィンだが、指示された老執事は、何でもない事という感じでエドモンドに背を向け二人に挨拶をしたかと思うと、視界から手品のように消え去る。


「お、おい。マリー。お前にあのバケモノの相手など出来るはず……」


 驚くフィンを放置し、きょろきょろと消え去った老執事を探すエドモンドの前に立ちはだかるマリー。


「侯爵様ともあろうものが、獣以下になりさがってしまうとは残念ですの。元の姿に戻れるかどうか分かりませんので、この場にて介錯するのも情け……。あら、やはり理性も知性も無いのですねぇ。お話の途中の乙女に襲い掛かりますか」


 口元を鉄扇で隠しつつ、言葉でエドモンドを煽るマリー。

 だが既に知性を亡くしたエドモンドにとっては、新しい得物が現れただけのこと。

 話しかけている途中に襲い掛かかってきたのを、マリーは両手の持った鉄扇で薙ぎ払う。


「マリー! オマエ、戦えたのか」


「あら、失礼ですわ。お兄様。ミアちゃんほどでは無いですが、身体強化魔法くらいは扱えますのよ。オホホ」


 驚くフィンを他所に、舞い踊る様にエドモンドの激しい攻撃を躱すマリー。

 その動きの中、マリーの通った跡に銀色の細い何かが見える。

 フィンは、そこからマリーの意図を掴んだ。


「そうか。それなら確かに勝てるぞ!」


「ということで、セバスが帰ってきたらお兄様はミアちゃんのところに行ってくださいませ。何、セバスの事ですから。あら、もう帰ってきましたのですわ」


「お嬢様、お待たせいたしました。地下保管庫に火酒がありましたので樽ごと持ってきました」


 セバスが小さめの樽を抱えてきたのを見て、マリーもフィンも戦闘中ながら微笑んだ。

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