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乙女な神官戦士と魔法学院教授の異世界法医学ファイル~ボク、スパダリでハーフエルフの先生と一緒に完全犯罪は見逃さないの!~  作者: GOM
第2部 ミアとフィンの結婚話。  第1章 フィンは己の過去と向き合う。

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第18話(累計 62話) 判明した殺人方法。

「せんせー。解剖終わったんだから、ちゃんとボクに謝ってよー」


 ジュールの解剖が終わり、全員シャワーを浴びた後の休憩室。

 騎士団長は職務で離れていたが、フィンはミアに酷く絡まれている。


 自分が、かなり後になって知ったフィンの「秘密」。

 彼が異世界の前世記憶を持っていた事を、自分より先に幼馴染のクロエが知っていたからだ。


「ミアくん、何回も謝っただろ。クロエくんに医学知識を詳しく教えるのに前世知識が必要だったから話しただけで、別にミアくんを無視していたわけじゃない」


「でもでも。どーして、同じ時にボクにも話してくれなかったの? ボクだけ仲間外れなんていやだー!」


 ミアはフィンの背中に両腕と両足を使って抱きつき、全力で逃がさないとホールド。


 フィンからすれば、柔らかい乙女の身体を押し付けられ、シャワー上がりの石鹸の香りやミア自身の甘い乙女の香りを強引に突きつけられている形。

 意識しなくても、乙女の『パワー』に圧倒され、耳まで赤くなり呼吸も乱れる。


「だから、そ、その時は……。ミアくんにきょ、拒否されるのが怖くて……」


「ボクがせんせーの事を信用しないはずないよ。秘密を教えてくれた時も、ボク変わらなかったでしょ?」


 フィンは自分が拒否されると思い、ミアに本当の事を言うのが怖かった。

 マリー以外の家族、両親にすら気味悪く思われた彼にとって、ミアが自分から離れるのが怖かった。


 だが、ミアにとって「そんなこと」。

 フィンに前世記憶があることなどは些細な事。

 フィンが自分に優しいフィンであることに何も変わりがない。


 だから自分が大好き、一目惚れしたフィンの事を信用しない事なんてありえない。

 自分に秘密を早く話してくれなかった事に怒っていた。


 ……ボクが、そんなことでせんせーを嫌いになるはずないじゃん!


「ミアくんに拒否される。気味悪く思われるのが怖かったって前も話ただろう。まだ許してくれないのかい?」


「ぷんぷん! せんせーがボクの事を信じていなかったのがショックなんだもん。今日は絶対に逃がさないの。このまま一晩締め上げて、ボク以外に目をくれないようにしちゃうよ!」


「うわぁ。み、皆、笑ってなくて助けてくれないか。私はこのままでは……」


 更にミアが自分を締め付ける力が強くなる事に恐怖を覚えるフィン。

 このままでは、呼吸も難しくなり命の危険性も出る。

 それ以上に、柔らかな女体を押し付けられ続けていれば、血圧も上がり心臓に負担もかかる。

 また、精神的にも何処までミアを襲う事を我慢できるのかが分からない。


「ミアちゃんを襲ってしまうのかしら、お兄様。これ、お兄様が教えてくれましたわよね、『大好きホールド』って。正面同士じゃなくて良かったですわね、おほほ」


 マリーは口元を扇で隠しながら上品気に笑って兄を揶揄(からか)う。

 彼女の背後に控えし老執事も、笑いをこらえるのが必死だ。


「そ、その前に血圧が上がり過ぎて腹上死しかねん。わ、悪かった、ミアくん。この埋め合わせはかならず行うから、今日のところは許してくれ。あ、い、息が……」


「ミアちゃん。そのくらいにしてあげないかしら? 先生の事はアタシが無理に聞いたの。どうして、誰も知らない医学知識を先生がご存じかと思って。ミアちゃんに話さなかったのも、先生に口止めされていたとはいえ、アタシが悪いの」


「もー、みんなのばかぁ! せんせー、ボクゆるさないんだもーん」


 この後、更に数十分ほど抱きしめられたフィン。

 呼吸不全を起こして気絶。

 今度は「せんせーが死んじゃう」と大騒ぎをするミアに周囲の人達は大声で笑った。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「ふぅ。ではミアくんも落ち着いたことだし、事件の事について話そう」


 気絶から復帰したフィン。

 今度は平謝りする涙目のミアを慰め、皆に説明を開始した。


「お兄様の話では、ジュール・ルフェーヴル2級教授さまは感電死。雷撃に撃たれて亡くなったのでしたわね」


「ああ。身体中にあった『リヒテンベルク図形』から間違いない。これは人体のような電流を通しにくいものの中に高圧電流が無理やり通った跡。衝撃で血管が破裂し、電気が流れた時の発熱、『ジュール熱』によって焼ける。体内、こと心臓も酷く焼けていたから、ミアくんの治癒魔法でも助ける事は不可能だったのだろう」


「アタシも冒険者さんの治療で雷撃魔法を受けた跡を治療したことがありますが、確かにこんな傷跡でした」


 マリーの質問に詳しく答えるフィン。

 解剖を行ったジュールの体内は、至る所にリヒテンベルク図形が刻まれ、焼けていた。

 また、クロエは治療院で魔法攻撃を受けた冒険者らを治療した経験から語った。


「ボク。頑張ったんだけど、最初から無理だったんだ……」


「ああ。ミアくんは十分頑張ったよ。痙攣をしていたから脳神経疾患か毒かと思い解毒魔法から開始していたが、あの時点で心臓が焼けていたら延命は不可能だった」


 フィンは患者の症状から脳血管疾患もしくは毒によるものと判断し、ミアに解毒魔法。

 つづいで治癒魔法を唱えながらの心臓マッサージを指示していたが、倒れていた時点で既に手遅れだった。


「靴も底が焼けていたし、机に触れていた両腕も焼けていた。おそらくだが床から電流が送られ、机につけた手が電流の出口になった。その途中にあった臓器、こと心臓が焼けてしまい亡くなった。これが、解剖によって分かった事実だよ」


「そこまでは分かりましたわ、お兄様。では電気の発生源は何かしら? だれも攻撃魔法を唱えた形跡はありませんでしたの」


「ボクも魔法は見ていないよ。そういえば、倒れたお兄さんを抱えた時、ピリって感じたの。まだ電気が残っていたのかな?」


 それぞれが見た事や解剖事実から事件推理を組み立てていく。

 その様子に慣れないクロエはびっくりする。


「先生やミアちゃん、マリー様はこんな風に推理していくのね。アタシの事件の時に全部分かってしまうのも当たり前なの」


「ボク、せんせーやお姉さまの力がないとバカだから、分からないよ?」


「いやいや。ミアくんの見る眼は事件解決に役立つ。先程の発言で分かった。おそらくだが、壇上。彼が立っていた足元。絨毯の下に雷撃魔法の魔法陣が仕込まれていて、遠隔操作で起動。感電死を迎えたに違いない」


 ミアの証言からフィンは答えを導き出した。

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