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乙女な神官戦士と魔法学院教授の異世界法医学ファイル~ボク、スパダリでハーフエルフの先生と一緒に完全犯罪は見逃さないの!~  作者: GOM
第2部 ミアとフィンの結婚話。  第1章 フィンは己の過去と向き合う。

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55/100

第11話(累計 55話) 事件の闇は深くなる。

「学長。ティエレ村の研究施設について、お尋ねしたいことがあるのですがか? 亡くなった研究員は……」


「シンダール1級教授。その件は既に報告書にて提出済みだ。遺族には見舞い金と慰謝料を支払っておる。今日のところは忙しいから、退席願えないですかな?」


 学院での教授会議。

 フィンはいつもどおり参加していたのだが、学会内の政治的話ばかり。

 この間の事件で学院の学生や研究員が亡くなっているのに、その事については一言も話が出ない。


 フィンは途中で事件に関して話そうとしたのだが、手を上げても発言を許してもらえない。

 仕方なく会議後に老齢に差し掛かった学長に尋ねてみたのだが、ケンもホロロに断られてしまった。


「はぁ。前まで学長はここまで頑なじゃなかったのに。年取って頑固になったのかなぁ。最近は香の匂いもきついし、鼻も効かないのはボケたのかも。あの香、王都では嗅いだことが無い匂い。昔、何処かで嗅いだ覚えがある匂いだけれど、何処だったか?」


 フィンは、小声で学長について愚痴る。

 前までは自分に融通も聞かせてくれていた学長が、このところ妙に冷たいからだ。


「お兄様、どうやら『敵』は、上に圧力をかけられるみたいですね。あの学長様がお兄様をお相手しないとは?」


「ああ、マリー。困った事だが、それでも私は戦うよ。で、頼んでいた物は無事回収できたかい?」


 会議終了後、廊下をトボトボと歩いていたフィンはマリーと出会う。

 周囲を一旦見回した後、フィンはマリーに小声で話しかけた。


「ええ。これから研究室に持って行くところなの。念のために護衛役にミアちゃんも呼んでいるわ」


「そうか。なら、四人でまた秘密会議と行こう。セバスさん、また危ない橋を渡りますが、よろしくお願いしますね」


「はいです、フィンエル坊ちゃま。マルグレットお嬢様の事は命に代えてお守りしますので」


 マリーの背後に控えし老執事は周囲に目を張りつつ、フィンへ華麗なあいさつをした。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「せんせー! 待ってたのぉ。この間の『図鑑』ってやつ、ボクにも読ませてぇ! あれ、可愛い絵もあったしぃ」


 フィンらが研究室に帰ると、学生からお茶とお菓子を出してもらい、くつろいでいるミアが居た。


「ミアくん、すまん。あの図鑑は大学側に貸しだしたんだよ。あれは絵や写真もあって文字が読めなくても理解しやすいからね。調査と翻訳が終わったら、読んであげるから我慢してくれないかい?」


「ぶー! まあいいか。せんせーが一緒に読んでくれるなら楽しそうだし」


 異世界の本が読みたかったミアだが、手元にないと分かると不機嫌になり顔を膨らませる。

 しかし、本が帰ってきたらフィンが一緒に読んでくれると分かり、機嫌が一気に戻った。


「では、防音結界を張った後に本題に入ろう」


 フィンらが帰って来たのを確認し、学生らは研究室を出る。

 ミアやマリーが来た時に必ず研究室から離れるのは、話している内容が非情に政治的な事や事件に関係する事が多いから。

 学生らが政争や犯罪に巻き込まれて危険にならない為でもあるのを理解されているからだ。


「では、マリー。説明を頼む。」


「ええ、お兄様。先日のティエレ村の一件。あれは、大いなる事案の一部だったようですの」


 マリーは老執事から植物紙の資料を貰い、フィンとミアに話し出す。


「お兄様もご遺体の検視をなさってたのでご存じかと思いますが、亡くなっていた方の中に行方不明になっていた貴族子息が居ましたわ。その方は、アタクシ同様、王直属の隠密方なのですが外回りの調査をなさってました」


「ああ。脚の一部が残っていた方か。特徴的な痣があったので覚えているよ」


「うげげ。せんせー、怖いんだけど……」


 マリーからショゴスの犠牲者になっていたものに、隠密が居たと話す。

 フィンも自分が検視した部分遺体の事を思い出していた。


「何かを調査していて消されたのでしょう。死体を消すには最適のモンスターでしたしね、ショゴス」


「死体が無い殺人事件では、犯罪立証もできないからな。脚だけだったから、死因は分からなかったよ」


「じゃあ、あそこの村は証拠隠滅の場所だったの、せんせー?」


 三人はショゴスが何に使われていたかを気づく。

 全てを食べてしまうのなら、証拠隠滅に最適だと。


「ですが、あのショゴスも金や白金などのアクセサリーは溶かせなかったですの。調査後の押収物では沢山の装飾品が押収されています」


「私も見たよ。あのいくつかは只人族以外の人類種のものだったはず」


「えー! じゃあ、エルフさんとかドワーフさんたちも食べられていたのぉぉ!」


「そのあたりについては、アタクシが入手した情報があります。他にも恐るべし情報があったのですが、聞きますか? お兄様、ミアちゃん」


 口元を豪華な扇で隠しながら、脅す様な口調で話すマリー。

 その真剣な様子にミアは固唾を飲んだ。


「ああ。聴こう、マリー。おそらく、この案件は私の知る『前世世界』と関係がありそうだ」


 フィンは、その知性にあふれる眼で妹を見た。

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