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乙女な神官戦士と魔法学院教授の異世界法医学ファイル~ボク、スパダリでハーフエルフの先生と一緒に完全犯罪は見逃さないの!~  作者: GOM
第2部 ミアとフィンの結婚話。  第1章 フィンは己の過去と向き合う。

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第6話(累計 50話) 貴族別荘の中にあるは……。

「ここ、嫌な感じがするよー。せんせー、ここ入らなきゃダメ?」


「私も出来れば入りたくない。だが、村に残る未確認の施設がココだけなんだよ、ミアくん」


 調査隊がティエレ村に来て二日目。

 村人たちの家、そして村長の家を全て調査したが、半月以上前の生活の痕跡はあるものの、生存者は誰も発見できなかった。


 そして残るは、かつて村を領地にしていた貴族の別荘。

 外見は二階建てのレンガ作り。

 漆喰で白い外見を作っているのだが、デザインがあまり良くない。

 というか、悪趣味。

 妙にごてごてしいし、どこか悪魔の居城っぽいイメージだ。


「フィンくん。どう見る?」


「そうですねぇ。他の建物は木造ですが、この屋敷はレンガと漆喰作り。この屋敷を別荘にしていた貴族の方、あまり美的センスは良くないかもです。少なくとも私の好みでは無いですね。それは別として、おそらく地下室があります。学院への報告ですと地下に研究室があったはずです」


 如何にも不気味そう、動物を強引に組み合わせた銅像が庭に多数並び、建物の壁にもガーゴイル(小悪魔)の像がある。

 噂では、この屋敷を持っていた貴族は何種類かのモノを組み合わせて新たなる生物(キメラ)を生み出す事に力を入れていたとフィンは聞いていた。


「じゃあ、地下室に例のスライムがみっちり? 怖いよぉ、せんせー」


「だが、それなら村人が誰もいないのと話が合わない。村の中にスライムが現れていたのならいざ知らず」


「とにかく入ってみようや。全員傾注! これより我らは敵が潜むであろう屋敷に突入する。まずは除雪をして、庭に地下への搬入路が無いかを確認しろ。それとは別に屋敷周辺を外部から調査観察だ。時間もあまり無いから急ぐぞ!」


「御意」


 騎士団長ニコルの命令で、調査団の各員がキビキビと活動を開始した。


「団長! 裏の方に地下への搬入口がありました!」


 団員が協力して屋敷周辺の除雪を行った後、若手騎士から声が上がる。


「どれ。この扉は内側から閂が掛かっているな。ぶち破るのは簡単だが、さて?」


 建物の裏側。

 そこは少し地面を掘り込んでおり、おそらく地下室につながるだろう木製の扉がある。

 除雪していく中で出てきた扉を触り、ニコルは扉の向こうをうかがう。


「……。歩くような音はしないけど、何かいそうな感じがするよ。せんせー、ボクでも戸を蹴り破れるけど?」


「後で修理代を請求されても嫌だから、ここは脱出路として確保しておこう。嫌な感じがします。研究室にいきなり行くのは危険です。普通に玄関から入りませんか、騎士団長様」


 扉に耳を付けて中を調べるミア。

 気軽にここから強引に突入したらと言うが、慎重なフィンは気乗りがしない。

 あまりに敵の気配が無さすぎるからこそ、退路を確保しながらじゃないと調査をしたくないのだ。

 こと、地下室が研究施設であるから、そこに敵がいる可能性が高い。


「だな。退路を確保しないのは馬鹿のやることだ。では、ここはこのまま警備役を置いて、他の者は玄関や二階バルコニーから侵入出来ないか調査を……」


 ニコルがフィンの意見を受け入れた瞬間。


「あ、敵が来たよ。おらー!」


 ミアの奇声に振り返ると、ミアは問題の扉を綺麗な脚でぶち破っていた。


「どーして、そんな事を、ミアくん!?」


「だって、敵の気配が急にしたもん。うわぁ、本当に出てきちゃったぁ」


 フィンはミアの行動に驚いたが、次の瞬間。

 魔法発動体の杖を構えて戦闘準備をする。

 ミアもドアから背後に大きく飛んで、距離を取る。


「各員、戦闘準備! 敵は特殊スライム。近接戦闘は禁止だ!」


 ニコルは各員に命令を出しながら、攻撃魔法の準備をした。


 扉から津波のように湧いてくるスライム型モンスター、「ショゴス」。

 それは真っ黒な粘液の固まりで、ブツブツと表面が泡立つ。

 粘液の中から、様々な動物の手や足、触手が飛び出す。

 また、視点のあっていない眼、更には牙の生えた口が沢山表面に浮かんでいた。


「きもりわるーい。でも、実体あるなら怖くないよ。一番やりー! <気力(フォース・)(ブラスト)>!」


 だが、先制攻撃はミアが行う。

 構えた両掌から発射された衝撃波弾が粘液の海に叩き込まれる。


「あれ? あまり効かないかな?」


 だが、粘液相手では衝撃波は効果が薄いのか。

 一旦飛び散ったはずの粘液が再度固まり、ミアに迫る。


「この馬鹿娘、考え無しに攻撃するなぁ! <(ボール・)ライトニング>!」


 フィンはミアを守る為に、突き出した杖の先から球電を発射し、ミアを襲おうとしていた粘液を弾き飛ばした。


「せんせー、ありがとー」


「感謝する前に敵を観察しなさい、ミアくん! ニコルくん、気弾攻撃は効果が薄い。確かコイツは雷撃系や火炎にやや弱いから、それで攻撃を。剣は溶かされるし物理攻撃は効果が薄いから気を付けて。私が準備してきた物を取ってくるまで時間稼ぎを頼みます。ミアくん、荷物持ちを頼む」


「了解した」

「うん、せんせー」


 フィンはニコルたちが攻撃をして足止めしているのを見て、背後に走り出す。


「せんせー、ごめんなさい。ボク、また早とちりしちゃったんだ。ゴーストなら太陽の光の中に出てこないし、殴れる敵なら倒せるって思いこんじゃった」


「反省は後だ。今は勝てる準備をしよう。ただ、最悪じゃないよ、ミアくん。あのショゴスに暗い室内で襲われたら危なかった。広くて明るい場所で戦えたから結果オーライだよ。私の案じゃ危なかった」


 フィンはミアを慰めながら、荷物をデポしている臨時指揮所へ走る。


「ミアくんは早とちりだが、私は逆に慎重すぎた。難しいなぁ」


 フィンは荷物を開けながら、目的の物を探す。

 だが、彼の表情は暗い。


 ……この村に来てから先生、何かおかしいなぁ? 暗い先生は嫌だよ。


「せんせー。ボクはね、せんせーの慎重さにもあこがれるよ。賢くて的確に敵を攻めるの、カッコいいって思ったもん。ん、そういえば今回の敵の弱点とか、どうして知ってたの、せんせー?」


 自分の失敗に悩むフィンに対し、今度は逆に慰めに走るミア。

 だが、どうしてフィンが初めて見るはずの敵について詳しいのか疑問に思い、尋ねてみた。


「偶然……。じゃ済まないか。いつかはミアくんに話さないといけないと思っていた。この戦いが終わったら話すよ、私の過去を」


 フィンは、真剣な顔でミアに自らの過去を打ち明けると告げた。

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