表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女な神官戦士と魔法学院教授の異世界法医学ファイル~ボク、スパダリでハーフエルフの先生と一緒に完全犯罪は見逃さないの!~  作者: GOM
第3章 王国内乱、ミアを襲う過去の怨念。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/100

第9話(累計 第31話) 語れぬ虜囚からの聴取。

「騎士団長様、今日は夜遅くの聴取立ち合い、ありがとう存じますわ」


「いえいえ。フィン君の妹君、宮中伯様の依頼ですので、お気になさらずに。それに貴方の『お力」を使うのに、余人が居る場所では何かと不味いでしょうし」


 警察署の地下奥深く。

 地下牢のあるフロアーの一角。

 そこには、特殊な用途で用いられる取調室がある。

 今は七つ目の鐘、夜を告げる鐘が鳴った直後。

 朝早い人は、もう寝始める時間。


「ぐ。ぬぅ。うぉ」


「あら、無理をしてお話しなくても良いのですよ。貴方、まだ舌が治っていませんですから、お話は難しいでしょ。大丈夫ですわ、お口ではお話しなくても、アタクシには分かりますから」


 小さな灯りが一つだけある部屋の真ん中。

 重くて硬い椅子にしっかりと縛られている若い男。

 彼は、舌を嚙み切った後遺症で満足にしゃべれない口からヨダレを流しながら、目の前にいる若い女を金色の眼で睨みつけて意味不明な事を叫ぶ。


「へぇ。せっかく生き残れたのに、早く殺せと言うんですか? やはり他人の命を大事に出来ない方は、自分の命も大事に出来ないんですね。え? どうして考えている事が分かるのですかって? それは乙女の企業ヒ・ミ・ツね!」


 高級なナイトドレスに身を包む、燃える様な真紅の髪の淑女(レディ)は、暗闇の中で唯一輝く緑色の眼にて虜囚を眺めながら、唇を立てた人差し指で覆った。


「ぐひゃ、おみゃ、ばけ……」


「うふふ。焦っていらっしゃいますね。レディに向かって化け物とは心外ですの。でも、今は許してあげましょう。貴方の中から事件の首謀者やアジトなどを探さなきゃいけませんのですから。おほほ」


 マリーは縛り付けられている虜囚を嘲笑い、彼が心が乱れるように仕向ける。


「ふむふむ。あら、そんな立場の人が王国を裏切っていらっしゃったのね。へぇ。そして、そんな場所がアジトとは驚きですわ。やっぱり、子爵様を毒殺したのは貴方達だったの。どうして、そんなに王国を恨んでいらっしゃるのかしら!」


「ふー! にゅー! しねぇ!」


 虜囚の心の表面に浮かんできたものを、どんどん読み取っていくマリー。

 だが、彼らがどうして王国をそこまで恨んでいるのかが理解できない。


「戦争なのですから、兵士や騎士、将軍ら戦う方がお互いにお亡くなりになるのはしょうがない、恨みっこ無しですの。ですが、帝国は臣民全部を巻き込み、戦う必要もない方々をも不幸にしてしまいました。その上、王国へ帝国は満足な宣戦布告も無しに襲い掛かって来たと聞いています。そんな貴方がたが負けて国が無くなったからといって、王国を恨むのは逆恨み。筋違いでしょう?」


「うぉぉ! し、しねぇ!」


「恨むべきは、国民を愚かな侵略戦争に導いた皇帝陛下。そして、それを止めれなかった重鎮たち。また貴方がた帝国臣民も、そんな国や皇帝陛下を支持してしまった。ね、筋違いでしょ? 今からでも恨むのは辞めましょう。今や元帝国の方々の大半は、王国内で平和に暮らしていますの。それを今更、事を荒立て戦乱に巻き込むような事はしないでくださいませ!」


 マリーは、一気に自分の考えを虜囚に叩きつける。

 まだ少女とも言っていい年齢のマリーに「事実」を叩きつけらた虜囚。

 死ねとだけ叫ぶが、その叫びはどんどん小さくなる。


「アタクシのような、戦争時にはまだ幼女だった者に対して恨みごとを言ってもむなしいだけですわよ。さて、粗方の情報は貴方の頭の中から頂きましたわ。とりあえず、牢屋でしばし反省をしてくださいませ。ええ、『証言』が確定するまでは、生かしてあげます。それ以降も、お考え次第で検討しますので」


「ぐぅぅ!」


 マリーは冬前なのに脂汗をかく虜囚に背を向け、隣に立っていた老執事から飲み物を貰う。


「ありがとう存じますわ、セバス」

「いえ、お嬢様」


「実に見事な『聴取』でした。これで、王国を荒らしている賊を根絶やしに出来ます。者ども、こやつを牢に戻せ!」


「団長様、お役に立てましたら幸いですの。ただ、本当に一族郎党根絶やしにするのはおやめになってくださいませ。確かにそうすれば、怨恨を持つ者は誰もいなくなりますが、無関係な子達まで巻き込むのは帝国末期の悪夢と同じですの。王国は清く正しく、ただし悪意を持つ者『だけ』に対しては悪意を『そのまま』返す国でありたいものですわ」


 数名の兵士達に連れられて牢に戻る元帝国の暗殺者。

 蒼い顔をして、マリーの事をまるでバケモノのように見た。


「あら、乙女にバケモノとは言っていい事では無いですわよ。困ったお人ですわね」


 扇で口元を隠し、マリーは虜囚を蔑むように緑色の輝く瞳で見送った。


「さて。これ以降は、団長様のお手並み拝見です。一応お願いしておきますが、危ない事にこれ以上ミアちゃんを巻き込まないようにしてくださいませ。可愛いお義姉さまになにかあったら、承知しませんですのよ。ちゃんとパン屋さんも警備してくださいね」


「御意、宮中伯さま。いえね、ミア嬢ちゃん。物事の飲み込みが早いし、そんじょそこらの騎士よりも強いから、つい頼っちゃうんですよ。今後は気を付けます。それでは、ミア嬢ちゃんや教授、フィンくんに宜しくお伝えくださいませ」


「ええ。頑張ってくださいませ、ニコラおじちゃん」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ