第七十八話 ロクデモナイモノ
―――ガーディアンモンスターが潜む門の前。
準備を念入りに整え、挑む用意が出来ていたのは良いだろう。
だがしかし、その前に…
”うぉっ、なんだこの惨状?”
”どこかの国の、軍隊?それにしては物凄くボロボロだが…”
「ひどい…何があったんだ、これ」
目の前に広がっているのは、無残に破壊され尽くした兵器や、それを扱っていたであろう人だったもの。
下手すればR18Gに指定されかねない光景のために、自動的にモザイクを入れているのだが、それでもそもそも肉片すら残っているのかも怪しい部分はある。
まぁ、念のための保険とはいえ、ダンジョン内で死亡した場合、時間経過で吸収されるなんて話も有るが…残っているということは、そこまで時間が経過していないとも言えるのだ。
「クロハ、生きている人がいたら治療できるか?せめて、何があったのか情報だけでも聞きだしたいが…」
【うーん…主様の命令なら可能ですけれども…いますかね、コレ】
【ご主人様、あいにくですが生体反応が…】
あいにくながら、生き残りはいない模様。
残酷な事実が告げられ、望みは無い。
「そんな…」
【一体、誰がこんなことをやったのだ…?それに、あれはどういうことだ?】
サクラがそうつぶやきながら目を向けたのは、ガーディアンモンスターがいるはずの大扉。
その扉が内側から破壊されたような痕跡を残しており、中から何かが飛び出てきたことを示しているだろう。
【…それに、ダンジョンコア反応が見当たらないデス】
中に入ってみれば、そこはあちこちが大暴れした形跡を残す惨状になっていた。
本来であれば、ダンジョン自身が修復することもあるらしいが…その最奥部にあるはずのコアが無いようで、状態としては放置されていると言えるだろう。
「ガーディアンモンスターがわざわざ待ちきれずに出てきたとか?」
【いや、それは無いと思いますよ。コアを放棄して出てくるなんてことないですし…】
【というか、別の何かの可能性があるな。主殿、天井に大穴が開いているが、あれは上からぶち抜いた後だ。何かが降ってきて、ここで暴れまくったのかもしれない】
【その可能性は大きいですが…問題は、それだけの相手がいることですネ】
ガーディアンモンスター自身が暴れた可能性があるが、現場の状況から見る限り外部からの可能性がある。
”てか、ダンジョンコアが無いなら破壊されたんじゃ?このダンジョン、壊れないの?”
”内部構造的に、何かの巨大生物系なら時間の猶予は結構大きかったはず。ダンジョンコア、生み出す産物が多いから破壊自体がそんなにないけど、過去の事例でも破壊してすぐに全部バルスったようなことにはならないはずだし…”
”姿が見えないってことは相打ちに…なっているのが一番の希望なんだよなぁ”
コメントでも指摘を受けているが、ダンジョンコアが無い以上は破壊された可能性はありそう。
しかし、ダンジョンが直ぐに崩壊とかはしておらず、そもそも壊れたのかもわからない状態。
「なら、さっさと逃げたほうが良いか」
本来ならば、このダンジョンを秘匿した相手から逃げまくり、妨害も兼ねてのダンジョン攻略を行うよう予定だった。
しかし今は、状況が変わった。
おそらくはあの外で全滅していた者たちが、ダンジョンを秘匿していた存在であり、追われる心配は消え失せた。
いや、それだけならばよかったが、今度はコアを守るガーディアンモンスターすらも討伐したのかもしれないやばいのが出てきた状態。
そうなればもう、攻略どころではない。
「エリーゼ、今回は超緊急事態!!外が海中かもしれないが、逃げるための大穴を開けろ!!」
【了解デス!!】
禁じ手であり、最終手段。
ダンジョンを貫くほどの攻撃はおいそれと出せるものでもないし、下手をすればすべてが崩壊する可能性もあるが、緊急脱出の手段として利用するよりほかに無い。
【カノン砲、ダブルチャージ!!ご主人様、サクラ、クロハもつかまってくだサイ!!ぶち抜くと同時に反動で、一気に飛び出しマス!!】
右手と左手をそれぞれ砲へと切り替え、エネルギーを溜めるエリーゼ。
まずは片方で大穴を開けてすぐに、もう片方を発射してその反動で一気に飛び出す手である。
【発射!!】
ドワォゥッツ!!っとすさまじい音と共に、加減無しでのまずは一発、片腕から放たれる光の一撃。
その威力は凄まじく、このまま一気に貫通するかと思われたが…そうは、問屋が卸さなかった。
【グォォォォウウウ!!】
ドォォォンツ!!
「【なっ!?】」
何かが地面を突き破り、そして真正面から受け止める。
あの一撃だけでも頑丈なダンジョン壁を破壊するはずなのに…着弾後の爆発煙が晴れて、無傷な様子を見せて異土たちは驚愕する。
あのカノン砲を受け止め切った、相手は…その容姿は、一言で言い表すならば巨人。
ごつごつとした岩に、ところどころに不気味に生えている宝石のような岩もありつつ、ぎょろりと向けてくるその目は隙間の闇から覗くように不気味に輝いている。
【グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!】
ダンジョン全体が震えるかのような咆哮をあげ、その怪物は異土たちへ襲いかかってくるのであった…
突如として現れた、巨人
明かに敵であり、戦意があることがうかがえる
しかも、エリーゼのカノン砲を正面から受け止めるような相手って…次回に続く!!
…さらっとやばいことをしでかしている




