70. 霊薬調合・実践
すみません、まだ体調回復してません。
碌に推敲できていませんので誤字などが多いかもしれません……。
作成手順を教わったナギ達は、早速ジゼルの監督下で実際に挑戦してみる。
容器はジゼルが用意してくれた。僅かに赤みがかったガラス製の小瓶で、コンビニなどで売られている栄養剤の瓶よりもサイズは小さい。
容量は1瓶で、せいぜい30~50mlぐらいでは無いだろうか。
「霊薬用の瓶は各種取揃えてありますので、足りなくなったら1階の販売店で購入して下さいね。色も豊富ですので、霊薬の種類ごとに瓶を色分けして作られるのがお勧めです」
「了解です。えっと、この容器に先に水を入れておいた方が良いのでしょうか?」
「ええ、その方が良いでしょう。容器に詰める水は何でも構いません。井戸水なら汲み置きしたものが工房内にありますので、自由に利用することができます。あるいは何か『品質』の良さそうな水をお持ちなら、それを使うのも良いでしょう」
「ふむふむ……」
そういえば丁度〈収納ボックス〉の中に、『竜の揺籃地』を流れる川から採った水があったな、とナギは思い出す。
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□トルキーア河川水/品質[91]×9186リットル
【カテゴリ】:水
【流通相場】:0 gita
【品質劣化】:なし
トルキーア川から採った河川水。
上流で採水するほど透明度が高く、水質も良いものが得られる。
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頭の中で思い浮かべると、収納されているアイテムの詳細が視界に表示された。
品質は『91』。工房内に汲み置きされている井戸水を〈鑑定〉してみると、そちらは品質が『60』だったので、これなら河川水を使う方が良さそうだ。
保有している量が量なので、霊薬を大量に作る場合でも、水が足りなくなることはまず無いだろう。
試しに小瓶を手に持った上で〈収納ボックス〉から『トルキーア河川水』を取り出してみると。直接小瓶の中に、適切な量の水を入れることができた。
これなら蓋を開ける必要もなく瓶の中に直接水を注入できるので、とても楽だ。直接水を注入することで、もともと瓶の中に入っていた空気が一体どこへ消えるのかは、まるで見当も付かないが―――。
「アリスちゃん、これを使ってね」
「わ、ありがとうございます!」
数本の小瓶に水を詰めて手渡すと、素直に喜ばれた。
わざわざ蓋を開けて水を入れるのも手間だろうから。小瓶に水を詰める作業は、二人分纏めてナギが行うほうが賢明だろう。
とりあえずジゼルが用意してくれた小瓶全てに『トルキーア河川水』を詰める。
小瓶は全部で50本近くあったけれど、〈収納ボックス〉から直接水を詰めるなら作業には1分程度しか掛からない。
前準備を終えて、改めてナギはジゼルが用意してくれた錬金台へと向き合う。
アリスも自由に使えるように、脇に置かれた机の上に予め50個ずつ出しておいた『カママ』と『セイズダケ』の素材から、ナギは1つの『カママ』を手に取る。
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□カママ/品質[84]
【カテゴリ】:薬草
【流通相場】:1,080 gita
【品質劣化】:なし
森の中で大量に群を成して咲き乱れる、腹下しの毒を持つ花。
錬金要素を引き出すと、一転して傷を癒す効果を持つ薬花となる。
錬金術師が加工することで最下級の生命霊薬となる。
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台の上に水を詰めた小瓶と、赤い花弁を持つカママの花を並べる。
一度ゆっくり深呼吸を済ませてから。ナギは強く意志を籠めながら触れることで錬金台を操作し、カママの花から錬金要素の抽出を開始した。
錬金台の上に置かれたカママの花が、ぼんやりと淡い光に包まれてきた。
光は更に強まり、カママの花から溢れて滴り始める。その零れた光の雫を、下に置かれた『錬金台』がしっかりと受け止めていた。
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□錬金台/品質[71]
【カテゴリ】:生産道具(錬金術)
【流通相場】:6,000 gita
蓄積中の錬金要素:〔治癒〕 - 11pts
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錬金台を〈鑑定〉してみると、〔治癒〕という錬金効果が『11』ポイント分だけ蓄積していることが判った。
作業を継続するに従い、錬金台に蓄積されている錬金要素の数値は更に増加していき、やがて『40』ポイントを超過する。
一方で、カママの花のほうも〈鑑定〉で視てみると。最初は『84』あった筈の素材の品質値が、現在は『40』にまで急速に低下していた。
どうやら素材から錬金要素を『抽出』すると、そのぶん品質が低下するらしい。
作業を続けていると、みるみるうちに品質が下がり続けて。とうとうカママの花の品質値が『0』へと到達し、更にはマイナスの値にまで振り切った。
(ん……?)
錬金台の上に置かれたカママの花は、今も淡い光に包まれ続けているものの。
その光はどこか均一でなくなり、何か濁ったように曇り始めてきた。
慌てて錬金台のほうを〈鑑定〉で視てみると、一時は『80』ポイント以上まで蓄積した〔治癒〕の錬金要素が、一転して『40』ポイントまで減り、今も下がり続けている。
どうやら品質が『0』以下になった素材からも『抽出』を続けると、錬金台に蓄積されていた錬金要素を、逆に消費してしまうらしい。
慌ててナギは意志を籠めて素材からの『抽出』をストップした。
(……まあ、一度最後までやってみよう)
止めるのが遅れたせいで、錬金台に蓄積されている〔治癒〕の錬金要素は『31』ポイントにまで下がってしまったけれど。とりあえずは失敗作になると判っていてもいいから、最後の行程まで体験してみることが重要だろう。
蓄積された〔治癒〕の錬金要素を、ナギは意志を籠めて錬金台を操作することで台上に置かれた小瓶の内側の水へとゆっくり移し替えて、溶かし始める。
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□生命回復ポーション(6等級)/品質[91]
▲錬金要素:〔治癒〕 6 pts
飲用者の生命力が『2点』回復する。
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すると、小瓶の中身を〈鑑定〉して表示される情報が、『トルキーア河川水』から『生命回復ポーション(6等級)』のものへと変化した。
更に十数秒ほど作業を継続すると、錬金台に蓄積されていた分を全て溶かしきることが出来たようで、生命回復ポーションに溶融する錬金要素が『31』ポイントにまで到達する。
一応、確認の為にそれでも作業を止めないでいると。今度は逆に、ポーションに溶かされている錬金要素の数値が『30』、『28』、『25』と徐々に減り始めた。
どうやら錬金台に『抽出』する時と同じで、適切なタイミングで作業を停止しないと、逆にポーションに溶かした錬金要素を目減りさせてしまうらしい。
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□生命回復ポーション(6等級)/品質[91]
【カテゴリ】:霊薬
【流通相場】:時価
【品質劣化】:なし
▲錬金要素:〔治癒〕 20 pts
飲用者の生命力が『9点』回復する。
市場で取引される中で最も有り触れた、最下級の生命霊薬。
最下級とはいえ霊薬自体が貴重なので相応の額で取引される。
ロズティアの〈採取師〉ナギによって作成された。
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というわけで、最終的に出来上がったものがこちら。
『抽出』と『溶融』の両者で大幅に錬金要素をロスしたせいで、飲用しても生命力がたったの『9点』しか回復しない、とても微妙な生命霊薬になってしまった。
駄作は駄作なりに、きっちり評価して貰うべきだろう。
そう思って、一応ジゼルに出来上がった品を提示すると。
「……まさか、初回から完成させるとは」
と、大変に驚かれてしまった。
何でもジゼルが言うには、霊薬調合に初めて挑戦する人は大抵、最初の10本分ぐらいは完成させることさえできず、全てを駄目にしてしまうらしい。
〈鑑定〉のスキルで数値の詳細が視えてしまうお陰で、この程度の失敗で済んだナギのほうが異例であるらしい。
ナギは〈錬金術師〉の天職こそ持たないけれど。代わりに〈鑑定〉があるお陰で、充分に人よりも優位に『錬金術』を修めることができそうな気がした。
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□生命回復ポーション(6等級)/品質[91]
【カテゴリ】:霊薬
【流通相場】:時価
【品質劣化】:なし
▲錬金要素:〔治癒〕 84 pts
飲用者の生命力が『38点』回復する。
市場で取引される中で最も有り触れた、最下級の生命霊薬。
最下級とはいえ霊薬自体が貴重なので相応の額で取引される。
ロズティアの〈採取師〉ナギによって作成された。
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もちろん2本目を作成する際には〈鑑定〉をフル活用し、『抽出』と『溶融』の両方で錬金要素を1点も無駄にすることなく、完璧なものを作り上げてみる。
今度は完成品を目にしたジゼルが、声を張り上げて驚きを露わにしていた。
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お読み下さりありがとうございました。
誤字報告機能での指摘も、いつもありがとうございます。
[memo]------------------------------------------------------
ナギ - Lv.14 /掃討者[F]
〔現人神〕〔アルティオの使徒〕〔オキアスの使徒〕〔調停者〕
〈採取生活〉7、〈素材感知/植物〉4、〈繁茂〉3
〈収納ボックス〉7、〈氷室ボックス〉4、〈保存ボックス〉1
〈鑑定〉4、〈非戦〉5、〈生体採取〉2
〈自採自消〉1、〈採取後援者〉1
〈複製採取/植物〉2、〈複製採取/解体〉1
【浄化】4、【伐採】6、【解体】1、【素材探知/植物】1
〈植物採取〉8、〈健脚〉4、〈気配察知〉3、〈魔力察知〉1
〈錬金術〉1→2、〈調理〉3
〈神癒〉3
227,812 gita
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