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499.教師探し





「――教師リスト? ……何年か前に聞いた気がするけど」


 受付嬢越しではあるが。


 正式に依頼を受け。

 クノンとベイルは教師探しを開始した。


 まずは、教師サトリの研究室へやってきた。


 魔術学校に長くいる高齢の教師。

 その候補の一人が彼女だ。


 ちなみにジェニエはいない。

 たぶん三級クラスの授業をしているのだろう。


「あんたら調査やってんのかい?

 何年かに一度、上からそういう話が回ってくるんだけどね」


 サトリは苦笑している。


 今日は「学校の用事」で来た。

 そう伝えると、彼女は応接用のテーブルを勧めてくれた。


「それ、誰もやらないんだよ」


「らしいですね」


 クノンは相槌を打つ。


「二年くらい放置されてたみたいです」


「ああ、だろうねぇ。

 調査とか面倒臭いからねぇ」


 本当に面倒臭そうな顔である。


「正直、多くの教師が、教師には興味がないんだよ。

 あたしもまったくだ。


 だから誰が何やってるとか、まるでわからない。


 あたしらが興味があるのは、魔術と魔術師だからね」


 そういうものらしい。


「新人が増えたとかなんとか聞くけど、名前も知らないんだ」


「そうですか……」


 思ったより横の繋がり、教師同士の繋がりはないらしい。


 ――まず、できるかぎり教師の名前を知りたかった。


 だから高齢の教師に会おうと思ったのだ。

 情報提供を求めて。


 長くいるなら、知り合いも多いだろうと考えたのだが。


 しかし。


 この分だと、なかなか難しそうだ。


「すんません、ちょっと関係ないかもしれないんすけど」


 と、ベイルが口を開く。


「準教師ってどういう扱いなんすか?」


 準教師。

 確かに、なんだかはっきりしない立場の人だ。


「簡単に言えば、教師志望だね。

 多くが教師の弟子とか付き人とかやってるけど、やってない奴もいると思う。


 でもまあ、明確な線引きは、やっぱり三級資格試験だろうね。


 この資格が取れれば、三級クラスの授業を請け負うことができるんだよ」


「ああ、じゃあ、準教師も教師みたいな資格が必要なんすね」


「そう思っていいと思うよ。


 まあ厳密に言うと、もう名乗っちまえば誰でもって感じだけどね」


 なるほど。

 ならジェニエもその三級資格試験に通ったわけだ。


 さすがである。


「もう一つ。

 教師の仕事って何なんすか?」


「二級の授業は教師がやってる。

 あたしも上から命令があれば教壇に立つけど、基本は新人や若手がやるよ。


 あと、あたしらにも単位みたいなものがある」


「単位すか? 俺ら特級みたいに?」


「そう。あんたらみたいに単位十点必要とか、明確なノルマはないけどね。


 しばらく実績がなかったら監査が入るんだ。

 その結果、教師の資格をはく奪されることもある。


 まあ滅多にないけどね。

 学校に残っている教師は、学校施設に用があるんだ。


 で、学校施設を利用して何かするわけだ。


 だが魔術に関わらないなら、学校にいなくていいだろ」


 それはそうだ。


 必死で勉強して、教師の資格を取るわけだ。


 苦労して資格を取って。

 なのに何もしない。


 これでは理屈が通らない。


 ――学校内の情報を探るため?


 いや。


 ここはあのグレイ・ルーヴァのおひざ元。


 彼女に睨まれる。

 そんな危険を冒してまでするだろうか。


「あとは特級生徒の相談役とか、先導だね。


 教えを乞う生徒には教える。

 相談事にも付き合う。魔術とか単位の相談とかね。


 無下に扱う教師は少ないと思うよ」





「――思ったより難航しそうだな」


 サトリの実験室を後にする。


 教師の名前を教えてもらった。

 思い浮かぶかぎりの、ではあるが。


 十名くらいだ。

 顔まで知っている名前も、まるで知らない名前もある。


「そうですね。

 五十八名も見つかるかどうか」


 二年前は確認できたらしいが。

 しかし、教師資格がはく奪されている可能性も、あるわけだ。


 サトリに「偽教師がいるそうですが」と聞いたところ。

 爆笑していた。


 彼女曰く「教師資格をはく奪されたことを知らない奴はいるかもね」とのこと。


 知らぬ間に偽教師になっていた。

 そんなパターンもあるみたいだ。


 なお、「景色を記録する魔道具」は、お褒めの言葉を頂いた。

 ひとまず一人目である。


「特に、学校外にいる教師は厄介だな。俺全然知らねぇぞ」


 そう。

 学校にいない、学校に来ない教師もいるのである。


 クノンも一人心当たりがある。

 造魔学という禁忌の学問を専攻している教師だ。


「まず学校内の教師を優先して探してみましょう」


 外の教師は後回しだ。

 学校内で教師を探しつつ、外にいる教師の情報を集めるのがいいだろう。


「そうだな。地道にやってくか」


 それがいい。


 教師の名前全員、いつ判明するかも怪しいが。

 まあ、急ぐ必要はないだろう。


 魔道具の試行もやっていくのだ。

 ゆっくりやればいい。


 それに。


 どんな教師がいるかも知りたいし。

 彼らが何を専攻しているかも知りたい。


 希少属性持ちはどれくらいいるだろう。

 ぜひ教えを乞いたいし、なんなら一緒に何か実験もしたい。


 加えて。


 クノンはジュネーブィズたちを待つ必要もある。


 少しずつ進めていけばいいだろう。


 ――と、思っていたのだが。













「――くそ! おまえら学校側の人間か!」


 地道に、地味に、調査を。

 人探しを。 


 そんな風に思っていたのに。


「――え、なんで逃げてんだ!?」


「――偽教師ですよ! ベイル先輩追いましょう!」


「――偽!? あれが!?」


 駆け出す偽教師を、追うクノンたち。


 思ったより、楽しい調査になりそうだ。





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― 新着の感想 ―
偽教師が盗撮見つかって逃げるのかと思いきや、撮影される側が逃げてるのかwww
この学校にもノリがいい人いるんだw
>「――くそ! おまえら学校側の人間か!」 ワロタ まさかこんな台詞をはくようなキャラが出てくるとはw
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