死神少女は聖女の不安を解消したい
クリスティアナは不思議な夢を見た。
誰の視点かは分からないが夜の砂漠を飛んでいた。
感じる風や砂煙から自分が鳥になったようだ。
急に暗転すると砂漠の町の上空に移った。
特徴的な白い建物は砂漠の民特有の建築物だ。
様々な建物が並ぶが町は不気味なほどに静かだった。
再び暗転すると今度は遺跡のような場所にやってきた。
怪しげなローブの集団が遺跡へ入ると意思に関係なく視点の主も遺跡へ侵入した。
遺跡の深部には見たことのない魔法陣を多数のローブが囲っていた。
魔法陣の中心には赤い液体が散乱している。
そこから黒い煙のような物が発生していた。
そこで夢から覚めた。
「今のは一体……………」
【ベルセイン帝国 小さな村リネ】
「バナス砂漠?」
寝起きのエミリアにクリスティアナは砂漠に行きたいと言い出した。
「珍しいね、クリスがそんな場所に行きたいって。」
「夢で見ました、何だか嫌な予感がするのです。」
聖女であるからかクリスティアナは予知夢のような物を見ることがある。
そういった勘は案外無視したら大変なことになる。
「クリスの不安はほっとけない。なら今度は砂漠へお出かけだね。」
バナス砂漠。
以前は緑豊かな地があったらしいが今では見る影もない。
こんな不毛の地でも住もうと思えば住めるものだ。
大きなオアシスを中心に【砂漠の町ゴドゴゴ】は存在する。
クリスティアナが夢で見た町はゴドゴゴだろう。
砂漠には集落が点在しているらしいが大きな町は1つだけだ。
遺跡に関しては残念ながら分からなかった。
現地の人に聞いてみるしかないだろう。
「砂漠へ行くなら暑さ対策と寒さ対策が必要だね。」
ハンナは以前、バナス砂漠を訪れた事があった。
しかし過酷な環境に当時のハンナは耐えられず4日で離脱していた。
「暑いのは分かるけど寒さって?」
「夜の砂漠は凄く冷え込むんだよ。」
砂漠は空気中の水分を蓄えることが出来ない。
これにより太陽熱を直に吸収してしまい日中は凄まじく暑く、夜間は熱を一気に放出して冷え込むのだ。
町中であれば寒さは凌げるが暑いのは変わらない。
ハンナから予備知識を叩き込んで貰うと砂漠へ向かうための準備に取りかかった。
村に行商人が来ていたので役立つ物が無いか見ることにする。
ナイフに矢、ポーションも欠かせない。
エミリアは他にめぼしい物が無いか見ていると見慣れない物体を見つけた。
「それ何?」
「これは耳当てさ、耳を保護する道具だね。」
不思議な形をしたそれは丁度両耳の辺りをモフモフで覆うような形状をしていた。
見たところ在庫はこれしか無いがエミリアは何を思ったのか耳当てを手にした。
「これちょうだい。」
「毎度。最後の1つだから銀貨12枚でおまけだ。」
「これで何とかなるかな。」
エミリアの真意はわからない。
だが悪いことにはならないはずだ。
その場にいる全員が思った。
そして砂漠へ出発の時が来る。




