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死神少女はどこへ行く  作者: ハスク
拾壱 ―巨人と巨船と魔導人形―
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死神少女の天敵

異界人であるツヨシは異世界転移時に特別な能力、『巨大化』を手に入れた。

その名の通り体を大きくさせてやっつけることができるのだ。

同時に身体能力も上がるため巨獣砲もシードラゴンの攻撃も物ともしなかった。


そんな巨大化能力も万能ではなかったのだが…………


今、彼は黒い巨大魔導人形ギガントと対峙していた。

まさかこの世界で巨大ロボのような物と戦うことになるとは思わなかっただろう。









【ナーガ海】

エミリアは次々と海賊船の乗員を倒していた。

外に出ている者は大鎌による一閃、内部の者は様々な部位が切断され殺害されていた。



エミリアは一人の死体を眺めた。

向かってくる海賊はこれまで同様無慈悲な鉄槌を降していた。

しかし戦闘中に普段感じないような違和感が生じた。


動きが余りにも単調すぎるのだ。

まるで自分から斬られに来ているかのように、そして全く避ける素振りを見せていないのだ。

少なくともそんな人間とは今まで戦っていないし殺した覚えもない。


何よりも………………





ヒヒーン


ふと、不自然な馬の嘶きが聞こえ上を見上げる。


「おぉ。」


頭上には無数の影が飛んでいた。










要塞船ジェストはハーベリア程の制圧力を持っていない。

大砲の数も半分以下である。





そんなジェストの甲板にペガサスとグリフォンに騎乗する女性騎士が並んでいた。


そして先頭の騎士が飛び立つと同時に他の騎士も追従した。



要塞船ジェスト、世界で初めての飛行騎士の海上出撃拠点である。


これがこの世界の『航空母艦』の始まりとされている。







ジェストに近づいていた海賊船に飛行騎士の空襲が始まった。


空を縦横無尽に駆ける彼女達を海賊は捉える事が出来ない。

クロスボウも全く当たらず射ち尽くしてしまうと海賊達には対抗手段が無くなってしまった。




海賊船の一隻を制圧した飛行騎士が隊長格と思われる騎士に報告する。


「船内の海賊は全て捕縛しました。」


振り向いた女性は戦場にも関わらず鎧ではなく普通の帝国軍服を着ていた。

長い茶色の髪を持つ女性は凛とした顔付きでどこか威厳を感じさせた。


「で、何か吐いたか?」


「駄目です。全員口を割りませんでした。」


「そうか。手の空いてる者に陸地へ送らせよ、我々は直ぐに次の船へ向かう。」


「はっ。」


騎士は下がると別の騎士に何やら指示を出していた。


「一刻も早く頭を捕まえないと戦いは終わらない。賢者…………いや、ナタリーの魔力が持っている間に。」


ジェストから飛び立った飛行騎士の指揮官を務めるのはオーレリア・ベルセイン。

帝国第一皇女である。













エミリア達が次の船で新たな犠牲者が現れた。



血飛沫あげて海賊の首が次々と飛んでいく。

そしてまだ気配の感じる場所へ向かうべく船内へ突入する。


扉を蹴破り襲いかかる海賊を次々に血祭りにあげていく。

そして一人の海賊の両腕を切断すると喉に闇剣を突きつける。


「あんたたちのボスはどこ?」


「こっ、この船にはいない!」


「あっそう。」


ズバッと両断する。

他にも気配を感じないし次の船へ向かおうとした。



「っ!?」


扉を開けた瞬間にエミリアは飛び退いた。

目の前には剣を振り下ろした海賊、何故かエミリアの探知能力に今もかかっていない。




直ぐ首を飛ばした。

飛んだ首からは血飛沫がでなかった。


「………人間じゃない?」


生きている者ならエミリアの探知能力で見つけられるはずだ。

しかしこの海賊は探知にかからなければ血も出ていない。


ふと、何を思ったのか海賊の口に手を突っ込むと何かを探り出す。


そして取り出したのはくすんだ玉のような物。


「…………ゴーレム。」




ゴーレムは大きく分けて二種類存在する。


一つは自然の魔力を取り込んで魔物化した物。

もう一つは魔導師等が作り出した人工ゴーレム。


特に人工ゴーレムのように自分の意思を持たない存在をエミリア自慢の探知能力は対象としないらしい。


人工ゴーレムといえばかつてクリスティアナの護衛だったラバダがいたが、あれは完全に自律しており普通の人間のように自ら考え行動した。

その為エミリアの探知には反応していた。


「不気味な奴。」


念のためハンマーに変形させたグリムリーパーで粉々にしておく。

エミリアの探知能力が反応しないということは今までのようにはいかない。

防具を身に付けていないエミリアは全ての攻撃が致命傷になりかねない。

奇襲を受けないように足音にも気を付けないといけないだろう。


スカートのポケットには傷を癒すが超不味いポーションが二本。

またあの吐き気に耐えるような思いをしなければならない事態にはなりたくない。


「さっさとボスを探して殺さないと………」



投げナイフの残りとエミリアの体力は確実に減ってきていた。

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