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死神少女はどこへ行く  作者: ハスク
玖 ―私の居場所―
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死神少女は故郷の現状を知る

【ベルセイン帝国 帝都ハーベリオス】

帝都の中央広場は多くの人が行き来している。

広場の真ん中に鎮座するのは『ドラゴンの像』。

帝国ではドラゴンは『勇ましき魔物』として扱われ、ドラゴン退治は冒険者達の目標の一つでもある。


ドラゴンは下位の『レッサードラゴン』ですら強力であるため世界でもドラゴン退治ができる冒険者はそれだけで英雄扱いである。

ちなみに広場の像はドラゴンの中でも上位である『フレイムドラゴン』を模していた。


「ほぇ~。」


幼い少女の姿をしたレイラは自分によく似た像を興味深そうに見上げていた。


本物より幾分かは小さいがそれでもなかなかよく作られている。同種のレイラにはなんとなく惹かれる物があるのかもしれない。



「像が気になりますか?」

「せーじょ様。」


クリスティアナはエミリア達が買い物している間の子守りを任されていた。


三人が居るのは冒険者御用達の商店、エミリアとハンナはわかるがナタリーも行くのは想定外。魔導師は魔導師専門の商店があるのでナタリーが行く必要はないのだ。



…………恐らくエミリアの側に居たいだけなのだろう。

今も昔もナタリーの根本は変わっていない。



「この国は強い人が国を引っ張るべきだと考えてる人が多いのです。権力だけあって無能な者はいらない。貴族であっても無能であればいらない………そんな考えに至った昔の人は強い魔物であるフレイムドラゴンの勇姿にあやかろうとこんなものを作ったのですよ。」

「ん~………。」


レイラには難しいらしく首を傾げていた。

クリスティアナも特にかいつまんで説明するつもりはない。


「強い人………お姉ちゃんは偉くなれるのかな?」

「かもしれませんが、エミリアはそういうのには興味を示さないでしょうね。」


愛しの親友は権力なんて欲しがらないだろう。

その気になれば亡き父に並ぶくらいには出世したのだろうが。


「もう少し近くで見ますか?」

「うんっ。」


そういうとクリスティアナはしゃがんで肩車の体勢に入った。



「ぐっ……………!」


首に跨がったレイラを持ち上げるだけでかなり消耗したクリスティアナ。

予想より自分には体力が無いと改めて思い知ってしまう。

スカートで見えないがクリスティアナの足は大股でぷるぷる震えているのだが、レイラは気づかずはしゃいでいた。






いい買い物をしたエミリア達が見たのはベンチで物凄く落ち込むクリスティアナだった。




成人間際に腰が逝きそうになったなんてクリスティアナはとても言えなかった。





中央広場の掲示板の一つに帝国全土が描かれた地図が貼られていた。

多くの冒険者達が行き先の相談でもしているのか

陣取って地図を指差しをしていた。


「里帰り…………。」


エミリアはリネへと里帰りするつもりだ。


地図を見ると帝都の東を平原が広がり、その先には森がある。

森を突っ切っていけば森と山に挟まれた村、リネに辿り着く。




「エミリア、実はリネはあれから人が増えたらしいのです。」

「ん?」


腰痛から復活したクリスティアナが冒険者達の会話を聞いたのだ。




数年前、村の近くでダンジョンが発見されたのだ。

冒険者ギルドは早速冒険者に調査をさせた。

ところがこのダンジョンには周囲に生息するものとは比べ物にならない強力な魔物が住み着いていた。

冒険者ギルドは村に支部を設置し長期的な調査に臨むことにした。


これにより小さかった村リネに多くの人が集まることとなり、冒険者が使うような施設が多く建てられた。


村の住民もこれで周辺の魔物退治を依頼しやすくなったと概ね好意的で冒険者達を受け入れたのだ。








「ダンジョン…………面白そう。」


エミリアが覚えている限りではダンジョンなんてものは無かったはず。

しかしダンジョンとはある日突然現れる物。ある記録では突然家そのものがダンジョンと化した事例もある。






クロワッサン片手に、左手はナイフを回しながら脳内でルートを決めていく。



今は昼過ぎ。何の障害も無ければ夜までには到着するはずだ。





「行こっか。」



エミリアを慕う四人は頷いた。


門番に挨拶して遂に故郷へ向けて出発した。




この先に待ち受ける物を楽しみにしながら。

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