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元自衛官が明治時代に遡行転生!なんか歴史が違うんですけど!?〜皇国陸軍戦記〜  作者: ELS
【第二部】

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【第三部】第27話.情報

明継は扉の取手に手をかけたところで、ふと振り返った。


「トリィはここにずっといるの?」

「うん、工具を見てるよ。何かあったら呼んで」


その言葉を聞くと、明継は安心したような表情をして小さく息をして外へ出た。冷たく澄んだ空気が、室内に流れ込んだ。


トリィはその姿を見送ると、古く錆びた工具箱を開いた。少し曲がったスパナや錆びたペンチ、用途不明の真鍮でできた部品たちがぎっしりと詰まっていた。想像以上の宝箱に頭を抱えるところだが、彼女は思いがけず楽しさを感じていた。世間ではガラクタと呼んで差し支えないそれらを、一つ一つ手にとっては戻し、どれが使えそうかを考えていった。



……



明継は、扉を開けると冷たい霧の中へ踏み出した。波の音が遠くでくぐもって聞こえる。海のを眺めながら歩いていると、霧の向こう側に影がゆらめいた。


「……おい」


短い声が飛ぶ。

明継はびくりと、肩を震わせて振り返った。そこに現れたのは、アナスタシアだった。フード付きのコートを被り、その奥で鋭い目が光っていた。


「こんな朝っぱらからどうした、あんまりうろつくなよ」


言い方は荒いが、その声には不思議と不快感はなかった。


「ちょっと、海を見ようと……」

「海は逃げねえよ」


はっ、と口先だけで小さく笑って言った。そして視線を海の方へ向けて続ける。


「船が出ている間はな、どこで見られてるかわからないよ」

「ごめんなさい」

「私に謝ってもな、まぁいいや。あの姉ちゃんのところに戻るぞ。話したいこともある」


アナスタシアは明継の背中を軽く叩いて、小屋の方へと歩き出した。歩幅は大きく、明継は小走りでついていく。小屋の前まで行くと、扉が内側から開いた。


「明継、アナスタシアさん?」


トリィがそう言うと、アナスタシアは面倒くさそうに片手を上げる。


「とりあえず中に入りな」


言いながら、二人を小屋の中に押し込んで扉を閉めた。アナスタシアは少しだけ考えたような顔をして、話し始めた。


「ルシヤの船が減ってる、うちに寄港する予定が突然キャンセルさ。噂じゃあ、樺太に船を集めてるってさ」

「ルシヤの船?それって俺たちに関係あるのかな」


明継の言葉に、軽く手を振ってこたえた。


「さあな、理由はわからん。でもこう言う時は、大抵ろくでもない理由さ」


はぁっ、とひとつ息を吐く。


「さからさ、お前たちを乗せられる船。数日で手配するって言ったけど、もう少し時間はかかるだろうね」


不安が顔に出ている二人を前に、アナスタシアは軽く笑ってみせた。


「まぁここにいれば大丈夫だよ、ゆっくり待つんだね。何かあったら教えてやる、だからあんまり陽の高いうちはウロウロするなよ」


少しだけ優しげな声で、アナスタシアはそう言った。二人が礼を言うと、彼女はまた来ると言い残して、そのまま来た道を引き返して行った。

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