表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁忌倉庫の管理記録  作者: 松戸京
管理番号11~20
46/80

管理番号19番:騎士の指南 ①

管理番号19番・簡易名称:騎士の指南

概要:管理番号19番は二本の剣と、一つの鎧です。両者は銀色で、その外見からかなりの年代物であることがわかります。(以下管理番号19番の剣を19x、鎧を19yとします)

 管理番号19番は対象者が管理番号19xに触れると特異性を発揮します。19yの中は空洞となっていますが、19xに対象者が触れると同時に活動を開始します。

 19yはもう一本の19xを使用し、19xを持った対象者に襲い掛かってきます。その際に19yは会話を用いて対象者を「指導」します。「指導」が開始されると対象者は19yの弟子として認識され、対象者が19yの襲撃によって死亡するまで「指導」は続きます。

 現状、19yの攻撃によって生存した対象者がいません。不死の能力を持つ管理番号1番によって、管理番号19番の真の特異性を解明して下さい。

「今回は……これなの?」


 俺は思わずそう呟いてしまった。


『ええ。目の前にあるのが危険存在です』


 ライナは耳元でそう言う。


 俺の目の前にあるのは……鎧だった。銀色の鎧と、二本の剣。


 鎧は随分と年代物のようである。中身はもちろん空っぽだ。


 剣も同様に結構使い込んであるもののようだ。


「……これをどうするっていうのさ?」


『それではまず剣の一本を手に取って下さい』


 ライナは大したことはないという感じでそう言う。俺はいつも通り嫌な予感がしたが……言われるままにとりあえず剣を手に取った。


 その瞬間だった。


「……よくぞ来た、少年」


「へ?」


 と、いきなりどこからか声が聞こえてきた。ライナ……のものではない。もっとしわがれた……老人のような声だった。


「フッ。恐れるな。貴様の目の前だ」


「え……目の前って……え?」


 と、俺が動揺していると、鎧がいきなり立ち上がった。


 中身は空っぽのはずなのに……鎧の奥からは何か光るような気配すらある。


「え……な、なんで立ち上がって……」


「たわけ者。ワシを何だと思っている?」


「え……な、何って……鎧?」


 すると、鎧はもう一本の剣を持ち、俺に対してその剣を突き出す。


「ワシは、騎士だ。誇り高い騎士だ」


「……はぁ」


 鎧は随分と自信たっぷりにそういう。まぁ、本人がそういうなら、そうなんだろうけど……


「さぁ、さっそく始めるぞ」


「へ? 何を?」


 俺がそう言う間にも、鎧はいきなり剣を構える。


「鍛錬に……決まっておるだろうが!」


 そういって、いきなり鎧は剣を振り下ろしてきた。俺は慌ててそれを避ける。


「……なぜ、避ける!?」


 鎧は怒っているようで俺のことを叱責するようにそう言ってきた。


「あ、当たり前でしょ……危ないなぁ」


「貴様……騎士を侮辱するか!? 剣を取った以上戦う意思を表明したのではないのか!?」


 そういって、鎧は俺の方に突進してくる。俺は慌ててそれを避けようとした……だが……


「え?」


 身体が……動かない。まるで身体が動くのを拒否しているようだ。


「よし! 逃げるのはやめたか! 結構! では……この剣を受けきって見せよ!」


「あ! ちょ、ちょっと待って!」


 俺が剣を構える間もなく、鎧は剣を振り下ろした……結局、俺は剣を受け切ることもできず……そのまま剣は俺の脳天に突き刺さった。


「あ……」


 意識が遠のくのがわかる……何度か経験したことのある感覚。


 こうして俺は、謎の鎧に「鍛錬」の最中に殺されてしまったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ