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二十九話『去ね』

おかしいな。一万字くらいストックしてたんだけど。

なんで二話投稿するだけでストックなくなっちゃったんだろう?


一話あたりの分量が増えている気もするし、ひょっとして妖怪のせいかな?


「あの、すいません」

「いかがされましたでしょうか」


 受付嬢から小動物でも見るような、微笑ましいものを見るような目で見られるが、そんな事は気にせず話を続ける。


「魔獣の素材を買いたいのですが、できるだけ希少な魔獣の素材を金貨十枚分程度で」

「どのような用途に使われるのでしょうか?」

「用途……そうですね」


 用途と聞かれ少し戸惑う。

 ティシュトルでの金策のためって、よくよく考えたら立派な転売行為だ。別に旅の行商人なんかは、普通にやっている事だし問題ないだろうけど。堂々と転売というのもなんだか気が引ける。


「単なる趣味です」


 こう言っておけばコレクションしていると思ってくれるだろう。

 それに、あながち嘘という訳でもない。魔獣の素材は俺にとっては非常に物珍しさがあり、それに対する興味も少なからずある。


「確かに中には宝石みたいなものもありますからね、どのような素材をお求めでしょうか?」


 俺がそう答えると、受付嬢はあっさりと納得してくれる。


「そうですね……予算内で、この国だけで手に入れられる魔獣の素材がいいいですね、できれば希少価値の高いものだと尚更嬉しいです」


 多少注文が多いかと思ったが、最初から条件を下げて後からより良いものが見つかって後悔するよりは良いだろう。


「この国特有の魔獣ですか……そうですね。ご要望に合いそうなものはクリスタルホースの角でしょうか。この国でも珍しい魔獣で、角も宝石みたいに綺麗ですし、加工もしやすくクリスタルホースの角で作られたものは工芸品としても価値が高いのでお勧めです。相場も丁度金貨十枚ですし」


 それはおあつらえ向きだと思い、是非とも買い取らせていただきたいと口を開くが、俺が何か言う前に受付嬢は説明を続ける。


「ですが、現在クリスタルホースの素材は物がない状態でして、特に先ほども申し上げましたように角は工芸品に使用されるので需要が高く、すぐに売れてしまわれるのです」

「……そうですか、それは残念です」


 条件にピッタリの物があると知り喜んでいたのだが、ないのであれば仕方ない。


「ちなみに、次の入荷予定とかは決まっていたりとかは……しませんよね」

「申し訳ありません、決まってないです」


 ダメ元で聞いてみたが、結果は案の定だった。

 冒険者ギルドは冒険者が依頼で狩ってきた魔獣の素材を買い取っているので、その素材を売りさばいているというだけあって、それを専門にした商売を行っているわけではない。なので、わざわざ物を取り寄せたりする事はしないのだろう。

 欲しければ相応の額を払い、ギルドを通して依頼を出すのが一番早そうだ。

 幸いにも、ティシュトルへ行くまではまだまだ時間がある。依頼を出しておけば、きっとそれまでには手に入るだろう。


「それなら、冒険者に依頼を出したいのですが」


 そう考えた俺は、受付嬢にそう言う。


「かしこまりました。こちらで依頼を出す場合は、多少の手数料を頂く為少し割高になってしまいますがよろしいでしょうか?」


 まあ、多少の出費は仕方ないだろう。別に気にするほどの事でもない。


「はい、構いません」

「なんや昨日の白坊主やないか、昨日の今日でもう冒険者になりに来たんか?」


 それで構わないと頷いた時、横から聞き覚えのある声がかかる。

 その声に反応して振り向くと、そこには昨日寮の中庭で出会った冒険者が立っていた。


「あなたは確か飛斑さんでしたよね」

「せやで、覚えとったんやな」


 俺が名前を言うと、少し嬉しそうに答える飛斑。


「それはもちろん。名前といい、扱っている武器といい、とても印象的でしたので……それと、僕は冒険者になりに来たわけではなく、依頼を出しに来たのです」

「ほお、どんな依頼や? なんならワシが直接引き受けたってもええで」

「えっと、冒険者の方に直接依頼をすることって出来ますか?」

「ええ、冒険者の中にお知り合いが居ればその方に直接依頼をする事も出来ますが、その場合はギルドでは一切の責任を負えませんので、なにがあっても自己責任という事になります」


 それはありなのだろうかと、受付嬢に尋ねると軽く頷いてそう説明してくれる。

 つまり、頼むのは勝手だがギルドは関係ないから何があっても自分たちでどうにかしてねという事だろう。

 飛斑と出会ったのは昨日の事。一度だけ話したことがある程度の仲だ。その時は気さくで面倒見がよく、信用できる人だとは思ったが……。


「決めました。では飛斑さん。少し向こうでお話しませんか?」


 頼むべきかどうか少し迷ったが、昨日見せてもらった飛斑の実力と、俺が彼に抱いた印象を信じて彼にそう言い、開いている席に腰を降ろすように促す。


「話の前に、なにか飲みませんか? 僕はここに来るのは初めてなので、お勧めとかあったら教えてほしい……です……けど……」


 話をする前に何か飲み物でも注文しようと思いメニューを手に取った時、あれだけ騒がしかったギルド内がやけに静かになっている事に気が付いた。

 皆、酒を飲む手も食事をする手も止めて、ただ一か所のテーブルに視線を集中させている。

そして、そのテーブルとは今俺達が座っているここだ。

 だが、その視線は場違いな子供に向けられたものではない。それなら俺が入った時点でギルド内は静かになっている筈だ。彼らの興味を引いているのは、俺ではなく俺の目の前に座っている冒険者だろう。


「名が知れているとは聞いていましたが、あれだけ騒いでいた方々がこうも静まりかえる程だなんて思いませんでした」


 自分が注目を浴びているわけでもないのになぜか妙に気恥しくなり、持っているメニューで顔を半分ほど隠して極力視線から逃れるようにしながら、俺は飛斑にそう言う。


「ワシが他所ものやからゆう理由もあるさかい、髪の色や目ぇの色を物珍しがっとるだけや」


 フッと鼻を鳴らし、謙遜するようにそう言う飛斑。

 しかし、本人はそう言っているものの……。


「おい、あれ魔掃屋じゃないか?」

「ああ、あの見覚えのねぇ武器といい、髪の色といい間違いねぇぜ」

「あれが王国最強の冒険者か」

「なんでも、百の魔獣を一瞬で倒したって話だぜ」


 周囲の噂話を聞く限りでは、明らかに見た目の物珍しさよりは実力の凄さで注目を浴びているようにしか思えない。魔掃屋なんて二つ名で呼ばれているし、王国最強の冒険者とか言われているし、とんでもなく凄い人じゃないのだろうか。

 そんな人にこんな依頼しても良いのかな?


「周りなんか気にせんでええ、それより依頼の話しよや。それから、ワシのお勧めゆーても酒しかないさかい、何か飲みたいんやったら適当なジュースでも頼んでくれや」


「そうですね」


 こうも周囲から凝視されていると非常にやりづらいのだが、どうやら彼らの興味は飽きることがなさそうなので、諦めてこのまま話を進めさせてもらう。


「飛斑さんにお願いしたい依頼は、クリスタルホースの角の納品です。期限はそうですね、三ヵ月くらいでしょうか、報酬は前金で金貨三枚、納品後に金貨七枚でいかがでしょう?」


 適当に飲み物を注文してから、俺は飛斑にそう話を切り出す。


「角は一本でええんか?」

「一本で良いです。僕としては何本あっても困りませんが、複数持って来たとしても報酬は増やせませんから」

「別に一本も二本も三本も大して変わらんさかい。それくらいおまけしたってもええけどな。報酬も金貨十枚で十分や」


 飛斑がそう言っている最中に、注文していた飲み物が運ばれてくる。俺とサーシャは柑橘系に似た果物のジュース。飛斑が頼んだのはおそらく葡萄酒に近い飲み物だろうか。酒の知識はまったくないので、あまり詳しくはわからない。

 俺は運ばれてきたジュースを一口含む。木樽のジョッキに並々と注がれたそれは、氷も入っていないにも関わらずキンキンに冷えており、喉の奥を通って冷たいものが胃に落ちていくような感じがたまらない。

「いいんですか?」


 そうして喉を潤した後、俺は飛斑にそう聞き返した。


「ええで~。ワシ、坊主の事少し気に入っとるさかい、それくらいおまけしたるで」


 結構な大きさのジョッキに並々と注がれた酒を、グイッと煽り空になったジョッキをテーブルに叩きつけるようにして置き、一息ついてから上機嫌にそう答える飛斑。


「わかりました、ではお言葉に甘えさせていただきます。ですが一本あれば十分ですので、二本目以降はたまたま見つけた時とかでいいですから」


 折角なのでお言葉に甘えさせてもらうが、そこまでして貰うのは少し気が引けるので控えめにそうお願いする。


「おう、わかった」

「では最後に前金を————」

「おい、アンタ魔掃屋だろ?」


 金貨を三枚、小さな麻袋に移して飛斑に渡そうとした時、横から割って入るように別のテーブルから野太い声がかかる。

 二メートルは優に超えるだろう巨体に、木の幹のような太い肢体。そして額には大きな傷跡を持つ男が背中に背負った巨大なメイスをチラつかせながら、飛斑を真っ直ぐと見ていた。


「ん? 誰や自分、なんか用か? すまんけど、今は仕事の話しとるさかい待っとってくれんか?」


 飛斑は男の方に目を向けるものの、あまり興味なさげにそう答える。


「俺は冒険者のバルトサール、剛腕のバルトサールだ」

「聞いた事あらへんな、で、なんの用事や? 今も言うたけど、話なら後にして——」


 男は飛斑の台詞を遮るように、いきなり背中のハンマーを掴むと、勢いよくテーブルめがけて振り下ろす。咄嗟にサーシャは俺を庇うようにして覆いかぶさる。

 ハンマーは木製のテーブルをいとも簡単に破壊し、石で出来た床に頭の半分を沈める。まさに剛腕と呼ぶに相応しい破壊力だ。

 周囲の冒険者もそれを見て感嘆の声を上げており、テーブルや床が壊れた事についてはどうでもよさそうであった。精々ギルドの従業員たちが、またかと言った様子で溜息を漏らす程度だ。


「ユウリ様、お怪我はありませんか?」


 俺に覆いかぶさったまま、そう尋ねてくるサーシャ。


「僕は大丈夫です。サーシャ先輩の方は大丈夫でしょうか?」


 サーシャのおかげで怪我をするような事はなかったが、むしろ庇ったサーシャの方が心配だ。飛んできた破片で怪我とかしていないだろうか。


「私はなんともありません。少々お待ちください、ユウリ様に害を加えるあの痴れ者を即刻排除してまいりますので」


 どうやらサーシャも怪我はないらしい。

サーシャは服に付いた埃を手で払い落すと、鬼のような形相でバルトサールを睨みつける。


「ちょ、ちょっと待ってください。その必要はありませんから」


 今にもバルトサールに殴りかかって行きそうなサーシャを慌てて止める。いくら何でも素手で武器を、持った相手に挑むのは無茶だ……いや、ルナは別として。

 それに、これは俺達に売られた喧嘩ではないのだし、彼に任せておいて良いだろう。


「いきなり何するんや?」


 今の破壊力を前にしても平然とした様子で、別のテーブルから持って来た酒に口を付けながら飛斑は静かにそう言った。

 ジョッキを片手に持っているものの、既に臨戦態勢に入っておりもう片方の手はしっかりと腰に下げている旋棍を掴んでいた。


「何するもねーだろ、王国最強の冒険者はこのバルトサールだって証明するんだよ!」


 そう言い、ハンマーを高々と掲げるバルトサール。

 それにより、ギルド内の空気はさらに盛り上がる。誰一人として、今にも始まりそうな喧嘩を止めるものは居らず、むしろ一世一代の大勝負が見られると大喜びで野次を飛ばし、あまつさえ賭け事を始める始末だ。

 かく言う俺も、身体強化を目に集中させて一瞬たりとも見逃さないようにしているのだが。


「こない雑魚倒してもなんにもならんっちゅーのに……一応言っとくけど、大人しく退いとったほうがええで」


 心底つまらなさそうにそう呟く飛斑。そして無駄だろうと分かっているものの一応は警告しておこうと、感情のこもっていない声でバルトサールにやめるように言う。


「はっ! 退くわけねーだろうが!」


 バルトサールはそう言うと、ハンマーを両手で持ち飛斑めがけて横から叩きつけるように振るう。


「あっそ、ほな去ね」


 ハンマーが振り下ろされるよりも早く、飛斑は腰から旋棍を抜き放ち回転を加えてバルトサールのあごを叩く。

 一瞬の静寂の後、バルトサールの巨体が大きく揺らぎ白目を剥いて床に倒れる。

 周囲も一瞬何が起こったのかわからず、唖然としている。俺自身、身体強化を使っていなければ今の一撃は見えなかっただろう。いや、もはや何か起こった事にすら気づかなかったと思う。

 それほどまでに間近で見る飛斑の速さは、言葉も出ないほどに凄まじいものだった。


 しばらく静かだった冒険者だったが、バルトサールが負けた事を理解すると、皆やっぱり負けたかと言いながら自分のテーブルに戻り食事を再開する。全員、勝負の行方はすでに分かり切っていたようだ。

 賭けに勝ち懐の温まった者は気分を良くして酒を頼み、大穴でぼろ儲けを狙って賭けに負け、懐が寂しくなった者は愚痴をこぼしながら酒を頼む。


「美しい一撃だ。あれが王国最強の冒険者と謳われる男か……凄まじいな」


 俺の隣でサーシャがボソッと呟く。

今の一撃を身体強化なしに目で追えるサーシャも、俺からすればかなり凄いけど。


「すまんの、ちと騒がせて」


 一瞬でバルトサールを片付けた飛斑は、少し困ったように笑みを浮かべてそう言う。


「いえ、それよりも依頼の前金です」


 俺はそう言うと、飛斑に前金の入った麻袋を手渡す。


「ん、確かに確認したで」


 中身を確認し、しっかりと金貨三枚が入っている事を確認した飛斑は、その麻袋を懐にしまう。


「では、僕たちはこれで……さて、良いものも見られましたので帰りましょうか先輩」

「かしこまりました」


 用事も済んだし、良いものも見られたことで満足した俺はサーシャにそう言ってギルドを後にする。


「ところでユウリ様、お疲れではありませんか? 帰りは私が抱っこをして差し上げても」

「いえ、それは結構です」


 受付で俺を抱きかかえたのが気に入ったのか、ギルドを出てすぐソワソワと落ち着かない様子でそう言ってくるサーシャの申し出をやや食い気味で断る。

 確かに少し疲れてはいるし、サーシャの気遣いもありがたいのだが、流石に街中で抱っこされるのは恥ずかしいので。


妖怪のネタはもう古いかなと思ったけど、最近ゲゲゲの鬼太郎始まったしまだまだ妖怪はホットだよな。

あと、猫娘可愛い。娘と言うより猫姐さんだけど。


次回、多分無双シーン。

正直、まだ書いてないからわかんない。


今週までには書き上げるように努力する。


ここまで読んでくれたあなた。ぜひ感想を書いてほしい。

こんな展開にしてくれとか、こんなキャラを出してくれとかそういう感想でも構わない。

チャーハンにパイナップル入れるくらいの要望なら、全然構わない。流石に生クリームかけたりは出来ないけど。



追記 もう少し待ってください

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