十八話『流石異世界です』
俺的格好いい日朝ヒーローランキング。
一位 仮面ライダーファイズ
二位 仮面ライダーアギト
三位 キュアブラック
日が暮れる頃、遅めの夕食を終えた一年生達はそれぞれテントに入った。
夜間の見張りは教師と中等部が行う為、一年生は特にやることはない。
長時間の移動とテントの設営をこなした彼らは、既に疲労はピークを迎えており、横になるや否や深い眠りへとついた。
物音一つしない静かな夜であり、初等部の生徒らは安心して眠ることができた。
野生動物の気配すらしない、不自然な静寂。
その不気味なまでの静けさが逆に気になり、俺はなかなか寝付けずにいた。
森から魔獣の遠吠えくらいは聞こえてきても良いだろうが、それどころか風が葉を揺らす音も聞こえてこない。
「こうも静かだと、逆に気になってきますね」
ここまで不自然だと、森の方で何かあったのではないかと気になるのも無理はない。
「……このままでは寝付けそうにないですし、明日の為にもここは一つちょっとだけ様子を見てきましょう」
少し森を覗いて帰ってくるだけだ。魔獣と戦おうというつもりはない。
一人でこっそりとテントを出ると、光属性の透明になれる効果を持つ上級魔法、インビンジブルで自身の姿を消し、見張り目を盗んでこっそりと森に入る。
比較的浅い所を彷徨いていたが、何も出てこないので少しづつ奥へと進んでいく。
「魔獣の姿どころか、痕跡一つ見当たらない」
だが、行けども行けども魔獣の気配も、足跡のような痕跡一つ見つからない。まるで、この森から生き物が全て消えたかのようだ。
魔獣が居なくなったなら居なくなったで、強力な魔獣が住み着いたとか、何かしら理由があるはずだがそれすらも見当たらない。
「戻りますか」
原因を探ろうにも、なんの手がかりもないのではお手上げだ。
もう引き返そうかと思った時、人の話声が聞こえてきた。音を立てないように話声の聞こえる方へ向かうと、引率の教師二人が訝しげな表情で会話していた。
「コレ、ひょっとして」
「ええ、ダンジョンの入り口ですね、この森にそんなものはなかった筈ですが」
ダンジョンだって?
こっちに宝箱あると思って勘を頼りに進んだら、ボス部屋まで一直線だったり、前の街で奮発して揃えた武具があっさりと宝箱からドロップしたりするあのダンジョン?
「まさか、ダンジョンなんて面白そうなものがあるとは……流石異世界です、素晴らしいです」
好奇心が刺激される。今すぐにでも、単身突入して隅から隅まで探索してみたいところだが、流石に何が起こるかわからないような場所に一人で向かうのは危険であるためにグッとこらえ、教師らの会話に耳を傾ける。
「自然発生という線は?」
暗がりでよく姿が見えないが、ダンジョンの入り口らしき場所の手前で会話しているようだ。
「いえ、ダンジョンの自然発生は無い話ではないですが……長い年月をかけてできた洞窟に、魔獣が住み着き生態系が形成されるものです。三日前の冒険者ギルドからの報告では、ダンジョンの形成は確認されなかった」
「自然発生ではないとなると、何者かが故意に作り出したというわけですか?」
「それはわかりませんが……ただ、魔獣の姿が見当たらないのは、このダンジョンが原因と見て間違いないでしょう」
「なるほど……一先ずこの事はギルドや騎士団に報告するとして、一度テントまで戻って明日の計画を練り直しましょう」
会話が終わり、テントの方へと戻っていく教師ら二人。
ダンジョンが気になったが、機会はまたあるだろうと思い、俺も教師の後をこっそりとつけてテントへ戻る。
翌朝、日の出からしばらくすると生徒達が起きだして来た。
生徒たちは保存食を使った簡単な朝食をとった後、教師の号令に従い学年別に集まる。
森に魔獣が居ない為に、演習の内容を変えるという旨の説明の後、中等部と一年生をそれぞれ四人づつで合同班を編成し、森の奥を目指して各班ごとに進む。
どうやら、計画を練り直した結果、魔獣討伐から森の調査へと演習内容を変更したようだ。
調査であれば人手が多いに越した事はない。魔獣が出ないのであれば、一年生も参加しても問題ないという事だろう。
また、ダンジョンの事については一切触れられておらず、ダンジョンの入り口があった付近は危険であるため近づくなと注意があっただけだ。
俺のように好奇心旺盛な生徒が、無闇にダンジョンへ足を踏み入れるのを避けたのだろう。
「お早うございます、メイコウ先輩」
同じ班の中等部に見知った顔が居たので、声をかける。
「君達と同じ班とは、つくづく縁があるみたいだね」
一年生の班はアル、ルナ、ルークといつもの面子であるため、彼らの顔を見て苦笑混じりにそう言うメイコウ先輩。
「ですね、よろしくお願いします先輩方」
上級生はメイコウ先輩以外の三人は初見である為、挨拶しておく。
「ああ、おたくらアレだろ? 噂のヴァンデルシアだよな? それからそちらのお方は王子様。俺はロビン。ま、正直おたくらの方がずっと強いと思いますが、一応はこっちの指示にしたがってもらうって感じいいですかね?」
制服の上から外套を羽織った茶髪の少年がルーク達を一瞥してからそう聞いてくる。
「そちらの方が手慣れてるでしょうし、指示はお任せします」
アルは同年代では強い方ではあるが、中等部と比べると少し見劣りする。とはいえ、他三人の実力が飛び抜けているのでこちらの方がずっと上だ。
しかし、こういった実戦演習の経験は中等部である彼らの方が多い。それに彼らにも面子があるし、指示出しは彼らに任せた方が良いだろう。
「えっと、おたくの名前は?」
俺以外の面々に聞いたつもりだったのだろう。俺が答えたので少し困惑しつつそう聞いてくるロビン先輩。
「ユウリ・ライトロードです」
教師らの間では名前が知られているようだが、それは生徒達には広まっていない。ルークやルナのように目立つ事もしていないし、公爵という地位もアルのお陰で霞んでいる。
それでも幾つか目立ちそうな事はしているのだが、余程耳ざとい限り知らないだろう。
「ん、図書館で難しい本ばかり読んでるって風の噂で聞いたことあるな……話じゃ最上級の魔法書を読んでたらしいが、ひょっとして使えたりするのかね?」
なるほど、かなり耳ざといらしい。
入学して最初の一、二ヶ月の間しか図書館通いはしていなかったのだが、それを知っているとは思わなかった。
「使えるように見えますか?」
とはいえ、最上級魔法を使える事を知られるのは困るため、笑いながらそう誤魔化す。
「いや、流石にな。最上級魔法書なんてそうそうお目にかかれる代物じゃないし、興味本位で読んでたんだろ?」
幾らなんでも、こんな子供が使えるはずはないと苦笑し、最上級魔法書を読んでいた理由を推測するロビン先輩。
「そうですね、正解です」
子供の身では中々手に入るものではないし、手に取ったのも魔法に対する興味本位なので、別に間違ってはいない。
「まあ、俺も一度目を通したことはあるが、さっぱり解らなかったよ」
「ロビン、雑談はそれくらいにしてそろそろ行こう」
「っと、そうだな。さて行こうか」
メイコウ先輩に言われて気を取り直したロビン先輩の指示で、軽く隊列を組み森へと足を踏み入れる。
こうして騎士科の生徒達にとって忘れられない体験になる、とても長い一日が始まった。
初代プリキュアのあのかっこよさは、男でも憧れる。
あの格闘シーンとか、下手なアニメなんかよりよっぽど魅せてくれるし。
ファイズは言わずもがな。携帯で変身というメカメカしい割りには、必殺技が毒殺とかいうパンクさ。本来なら、後半では雑魚扱いされるであろう、中盤で手に入れるフォームチェンジが最後まで通用するところ。というか、一対一なだ最終フォームよりも強いんじゃねーかって思うレベル。しかも主人公が化物っていう、子供向けにしては中々攻めた設定も痺れた。そして何より必殺技が格好いい。クリムゾンスマッシュってシンプルに格好いい。
アギトはキックが格好いい。曲が好き。




