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十三話『これは軽くですからね』

モンハンワールドにハマって、小説全然書いてなかった。


 魔法の測定に続き実施されたのは、剣術の技量の測定だ。

 測定の方法は至って単純で、二人一組になり模擬戦を行う。

 防具をして二組づつ行い教師らが常に見る事で、安全性は十分に保たれているので大きな怪我をするような事はそうそう起こらない。


「ユウリ、俺とやろうぜ」


 誰とペアになるかは自由であるため、ルークが真っ先に誘ってくる。


「構いませんが、これは軽くですからね」

「おう、わかった」


 魔法では少々やり過ぎてしまい、他の生徒のやる気を削ぐような結果となってしまった。

 なので剣術は他の生徒と大差ないくらいか、多少実力は上でも頑張れば追い付けると思える程度に抑えておきたい。


「む、ユウリとは余がやろうと思っていたのだが、先を越されてしまったか」


 ルークより少し遅れて、アルが駆け寄ってくるが先約が居るのを見て残念そうにそう言う。


「だったら私とやろうよ」


 それを見たルナがアルとペアを組もうと誘う。


「うむ、よろしく頼むぞ。先程の魔法はかなりのものであった、相手にとって不足なしだ」


 アルは満足そうに頷きながら、快くルナの誘いを受けた。


「……ルナ、相手は王子ですので怪我だけはさせないように、ちゃんと軽めにやるんですよ?」


 ルナとアルが模擬戦を行うペアを組んだのを見た俺は、ルナに小声でそう耳打ちする。

 特異体質を使えば条件なしで常識はずれな身体能力を得られる。

 教師が見ているとはいえ、一歩間違えれば大惨事になる。加減が下手なルナには、きちんと釘を刺しておかなければならない。


「わかってるわかってる」


 ……本当に大丈夫なのだろうかと、一抹の不安はあるもののここはルナの言葉を信じるとしよう。


「とりあえず、他の生徒のを見てそれに合わせる感じで行きましょうか」

「最初は君達から測定しよう、ユウリ・ライトロード君にルーク・ヴァンデルシア君」


 自分達の剣の腕が周囲と比べてどれ程のものなのか、先にやるペアをじっくりと見てから、それに合わせて打ち合わせをしようと考えて居たのだが、まさか一番最初にやらされる事になろうとは。


「……わかりました」


 どうしたものかと思案しながらも、そう返事をして模擬戦を行う決闘場に向かう。


「どうするよ?」


 決闘場に上がりながら、ルークがそう聞いてくる。


「これは予想外でした……とりあえず、軽く流す程度で」


 軽いウォーミングアップをしつつ、周囲の生徒の様子を見ながらレベルを調整していくしかないだろう。

 出だしで失敗しなければ大丈夫だと思いながら、俺は木剣を構える。


「わかった」


 ルークもそう頷いてから木剣を構える。


 両者が構えた所で開始の合図がなり模擬戦が始まった。

 最初は簡単な測定ということで軽い打ち合いをする……予定だったのだが、俺は一つ忘れていた。


 俺やルークは身体強化を利用しなければ、特異体質を発揮したルナと剣で打ち合う事が出来ない。

 それとは別に魔力コントロールの練習という意味も兼ねて『軽く流す程度』の時でも、つねに身体強化を使ってやっていた事を。


 開始間際にそれに気付き、身体強化の使用は禁止とルークに言おうとしたが時すでに遅し。

 口を開く前に開始の合図がかかり、ルークは開幕早々に身体強化を使い、間合いを一瞬で詰めて斬りかかってきた。


「ちょっ」


 剣で防ぐか魔法で防ぐか迷う余裕すらなく、半ば反射的に使い慣れている魔法、中級のライトシールドでルークの木剣を防ぐ。


「あれ……」


 いつもは魔法の発動の早さで必ず先手は俺が取っていたので、初手で守りに回った事を疑問に思ったのだろう、ルークは小さく呟きながら僅かに眉を潜める。

 が、周囲の生徒の反応を見て合点がいったと同時に、やってしまったという表情でこちらに目を向けてくる。

 ルークが驚異的なスピードで間合を詰め、木剣とは思えない程の鋭い一撃を放ったのを見て周囲の生徒は驚愕を通り越して呆然としていた。

 それもそうだろう、身体強化は中級に分類されているが、それを戦いながら維持するのは上級魔法に匹敵する難易度なのだから。


「すいませんルーク、身体強化の事を言い忘れてました……でも、出来れば自分で気付いて欲しかったです」

 

「悪い、けど一応は自分で気づいたぜ?」


「そうですね、でも使う前に気付ければ満点だったんですけど」


「悪い……こっから、どうすればいい?」

 

 驚愕や嫉妬などを通り越し、アレと比べてはダメだと思わせるしか生徒のやる気を削がない方法はないだろう。

 ただ、そうなれば面倒事に巻き込まれる可能性も……いや、その心配も既に手遅れだろう。


「とことん全力でやってください。僕はこのままで行きますが」


 魔法測定でレベルを抑えてあるから、今ここで全力を出すのは悪手だ。

 身体強化を使えない上に魔法も精々中級までしか使えない分、かなり不利になるがそれは仕方ない。


「わかった、じゃあ仕切り直しな」


 ルークはそう言うと一度距離を取り、木剣を構え直して一呼吸置いた後に再び斬りかかってくる。

 ルークの放った斜めからの斬撃を、今度は魔法ではなく木剣で防ぐ。


「くっ、流石に重すぎる」


 強い衝撃が木剣を伝わり手に鈍い痛みを与えるが、ぐっと奥歯を噛みしめ痛みに耐えながらルークの木剣を確実に受け止める。

 身体強化をしていたとしても、元の筋力が低いから正面での斬り合いでは分が悪い。ましてや今は身体強化を使っていないのだ、まともに戦える筈はない。


「無茶するな」


 魔法ではなく剣で受け止めた事に対して、表情に驚愕の色が浮かび上がる。

 が、すぐに好機とばかりに次の攻撃を仕掛けようと、一度剣を引く。


「作戦ですから」


 予備動作も詠唱もなしで、威力を最小限に抑えた、こけおどし程度のライトボールで弾幕を張りルークの動きを止める。


 仮に魔法で防げば、そこからのカウンターを警戒してすぐに距離を取っていただろうが、木剣で受け止めることで、自分の得意な剣術勝負に持ち込めたルークは、一気に決着をつける為に攻撃を続けてくる。 

 カウンターを仕掛けるには絶好の状況という訳だ。


「ぐ……」


 威力はあまりないとはいえ、至近距離での連射は流石に堪えるらしく、ルークは両腕で顔を覆い防御姿勢をとる。


「動きが止まれば」


 この至近距離に加えてルークは隙だらけ、状況は少しの間だがこれでイーブンだ。

 後は木剣で胴を叩けば、模擬戦は俺の勝ちだが……。


「こっちのものです」


 隙だらけの胴目掛けて、木剣を下から斜めに振り上げる。


「こんくれーで」


 やはり不利を打ち消したところで、剣術の腕はやはりルークが数段上だ。

 ルークは腕を振り払い、負けじと俺の攻撃にカウンターを合わせてくる。


「フラッシュ」


 ただ強烈な光を放つだけの初級の魔法。それを使い目眩ましをして、カウンターのタイミングをズラしてやる。


「ぐうっ」


 不意に強烈な光が目に刺さり、その痛みに攻撃の手を止め、目を抑えて怯む。


 これで終わりとばかりに、そのまま木剣を振り上げる。


「まだだっ!」

「なんと」


 これで決着と思っていたが、振り上げた木剣はルークが凄まじい速さで大きく後方へと飛び退いた事で空を切る。


「むぅ、今の状態から避けてきますか……やりますね、予想以上でした」


 予想外の事態にも冷静に対応したルークの成長ぶりに、素直に感心する。


「正直、身体強化がなかったら避けらんなかったし、ユウリが身体強化使ってたら避けらんなかったから、実質ユウリの勝ちだけどな。やっぱ魔法ありだと強いわ」


 肩をすくませながらそう言うルーク。


「何を言ってるんです? まだ勝負はついてませんよ」


 まるで、この勝負は自分の勝ちだというような口ぶりのルークに、俺はそう言い木剣を構え直す。


「けど、今の避けたしもう終わりだろ? もう同じ手には引っ掛からないし、もう手はねーんじゃねーの?」


 端から見れば、今の一撃を避けられた事で殆ど勝負は決しているようなものだろう。

 ルークの油断を突く、最も効果的であろう作戦で決めきれなかった以上、こちらも攻め手に困るのも事実だ。だが、攻め手に困るだけで、ないわけではない。


「そうですか? そう思いますか? ならこういうのはどうですか?」


 そう言うと、俺はシンプルに真っ向から向かっていく。


「よっと、やっぱ身体強化がないと軽いな」


 身体強化もしていない、同年代と比べてもややひ弱な肉体が放つ一撃を、当たり前のように軽々と受け止める。


「ライトランス!」


 左手を柄から離し、手のひらをルークに向けそう叫ぶ。

 が、中級魔法をこんな至近距離で使うつもりはない。

 本当に使うつもりであれば、魔法の名前など叫ばず、わざわざ手のひらを向けるような事はしない。


 これは単なるブラフだ。

 狙いはルークの動揺を誘うこと。


「げっ!」


 狙い通り、魔法を警戒し、焦って無理に距離を取ろうとして体勢を崩し大きな隙ができる。


「嘘です」


 そして、がら空きになった胴に木剣を降り下ろす。

 体勢を大きく崩しているルークは、木剣が見えていても避ける事が出来ず、もろに喰らう。


 その一撃が入った時点で、模擬戦は俺の勝ちで終了となった。

一週間しかやってないのに、プレイ時間50時間越えちゃったよ。

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