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プロローグ

 人は格差と共に生まれる。


 赤子として生まれた時点で、世界に平等などない。どこの国に生まれたか、どの家庭に生まれたか、どんな才能を持って生まれたか、そこで既に格差が生まれている。


 少年の頭脳は優れていた。少年は自身の容姿に不満を抱いたことも無い。その点では才能には恵まれていたといえる。だが、育った環境は恵まれているとは言い難かった。

 貧困な家庭に生まれ、両親は典型的なDV。小学校にも通う事無く、母親からは毎日のように殴られ蹴られ、痣が消えない日は一日としてなかった。アパートの一畳しかない押入れの中、一筋の光すら差し込まない暗闇が少年の安心できる唯一の居場所であった。

 そこから救ってくれた者達も居た。そんな正義の味方達のおかげで、少年は母方の祖父に引き取られる事になった。

 祖父は少年を育てる為に、足腰を悪くして畳んだ喫茶店を再び開いてくれた。その優しさに涙を流し、これまでの事は忘れて、これからは祖父に恩を返そう。そう決意した矢先、少年の身を襲った不治の病。原因は、親から受けたDVだった。

 暗い一畳の押し入れから、窓から暖かな光が差し込むベッドの上が俺の居場所となった。

 それでも、いつかは治る。そうなったら、勉強して働いて祖父に恩を返そう。そう思っていた。が、突然知らされた祖父の死。唯一、俺の味方をしてくれた祖父は、心筋梗塞であえなく逝ってしまった。

 少年の治療費を払う為に、自らの病を隠して無理に働いた結果だと看護師が噂しているのを聞いた。

 少年は生きる意味を失った。目的も、希望も何一つ残ってはいない。だが、自分で自分を終わらせる事も出来ない程に、衰弱しきっていた。

 祖父が残した保険金、それで治療を続けながら……いや、その頃には何も治療らしい治療はしていなかった。やっていたのはモルヒネの投与。痛みだけ取り除く治療だ。

 そうして少年は十六歳にして死んだ。



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