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☆いきなり転生☆ さらに~   作者: たかさば


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湯めぐり

仙波晴文は、ごく普通の温泉好きである。

毎日日替わりで温泉の元を湯船に投入し、毎日次の連休にはどこの温泉に浸かりに行こうかなと予定を立てる、齢34の温泉好きである。


今日も今日とて、いけ好かない同期が町内会のくじ引きで当てた温泉旅行ペア宿泊券を持て余しているという話を聞かされたあと、行きつけのコンビニで季刊誌『湧き湯』とジャンボ肉まんを買って家路についていた―――のだが。



キキ―――ッ!!キギィ――――イイイイイイイ!!!


ドガ――――――――――――ん!!


ぐわしゃぁああ!!


ぶちゅ。




真っ白な空間。

仙波晴文の魂と…、女神が対面している。


「仙波晴文さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます」

「はあ」


「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」


────────

仙波晴文(34)

レベル38


称号:転生者


保有スキル:湯めぐり

HP:37

MP:12

────────




「というわけで、いきなり草原に放り出すとは…やっつけ仕事だなあ、もっと丁寧にやったら評価も上がるだろうに」


べよん、べよん。


水色の、ぶよぶよした丸い塊が…温泉好きの前に現れた!


「うわっ!!スライムだ!!すごいな…どう見ても水なのに固形物になってる、しかもこの色は…そうだ、湯布院そっくり!!」


あまりうろたえない、温泉好き。


「もしかして浸かれるかも…?いや、早計な判断は身の危険に繋がる!まずは保有スキル…《湯めぐり?》って…ここ、温泉なんかあるのか…?」


うばほん!!!


目の前のスライムが温泉化した!!!

丸っこい岩に囲まれ、2~3人は入れるぐらいの露天風呂になったぞ!!


近くには鏡とシャワー付き・リンスインシャンプーとボディーソープ/シェービングフォーム/魚の目削り/ケロルン印の桶とイス常備の洗い場コーナー、整い椅子にすのこ張りの脱衣所まである!

衝立や敷居なんかはないけど、ワンコインで動くマッサージ器と風量がショボめのドライヤー、自由に使える湯上り着とバスタオル/ハンドタオルコーナー、牛乳のつまったガラス扉の冷蔵庫も用意されているぞ!


畳張りブースには長机とザブトンが置いてある…うん?

メニュー表が乗っているぞ!

どうやら飲食もできる模様!


「よーし、じゃあお湯を堪能させてもらうとするかな!」


温泉好きはスライムの湯に身を沈めた。


「…なんだこの、湧き上がる食欲は。スゴイ、どこそこ油モノを受け付けにくくなりつつあった胃袋が、やけに活発に動き始めて…腹が減ってくる!」


スライムの湯を上がり、座敷で異世界定食をいただいた温泉好きの目の前に火の鳥があらわれた!


「うわあ!!お、温泉巡りっ!!!ッじゃない、《湯、湯めぐり!》」


うばほん!!


火の鳥が温泉化した!

真っ赤なお湯に少々たじろぎつつも、温泉好きの血が騒ぐ!!


「よーし、じゃあお湯を堪能させてもらうとするかな!」


温泉好きは火の鳥の湯に身を沈めた。


なんだこの…燃え上がるような胸の熱さは!

しばらく感じることのなかった、熱い、熱い感情が突き動かされる!


そこに慰安旅行から帰宅中のエロ女子系モンスター御一行様が通りかかった!!


「うっひょう!!!エロいお姉ちゃんたち、キタ――(゜∀゜*)――!!!《湯めぐりぃイイ!!》」


うばほん!!


お姉ちゃんたちが温泉化した!!!

くんずほぐれつのホコホコ肉湯…まさに酒池肉林の湯―――!!!


頭に血がのぼっていた温泉好きは、大量に鼻血を噴き出して出血多量で絶命した。




「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」


温泉好きは時間を巻き戻されて、コンビニの入り口前に立っていた。

コンビニの入り口で立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが…、それに気づく様子はない。


温泉好きはコンビニでコンビニで季刊誌『湧き湯』とジャンボ肉まんを買って家路についた。


家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。


「そういやあ初めて一人で行った有馬温泉でも、こういう事故見たっけな…」


温泉好きは、ひょんなことから同期と一緒に温泉に行くことになり、親交を深めてみた結果思いがけず縁が結ばれ、夫婦そろって全国を湯めぐりするようになったのち年がら年中温泉に入りたいという夢を持つようになって、退職金を使い温泉を掘ったところ天然の炭酸泉が出たため小さな宿を経営することを決め、そこそこ順調に客足を伸ばしましたが孫のアドバイスで温泉付きの介護施設へとシフトチェンジしたタイミングで事業から手を引き、のんびり温泉に浸かりながら日々を送っていたある日、いつまでもお風呂から上がってこないじいじを心配した孫にふやけ切っていたところを発見されて荼毘に付されたとのことです。




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