わっしょい!わっしょい!
本間大は、ごく普通のお祭り男である。
毎日全国のお祭り情報を検索し、毎日いかにお祭りを楽しむか模索する、齢51のお祭り男である。
今日も今日とて、地域のお祭り開催会議でショボい提案を一蹴し熱く展望を語った後、行きつけのコンビニでりんご飴グミとド派手なキャラもの手ぬぐいを買って家路についていた―――のだが。
キキーッ!!キュギィイ――――!!!
ドガ――――――――――――ん!!
ぐわしゃぁああ!!
ぶちゅ。
真っ白な空間。
本間大の魂と…、女神が対面している。
「本間大さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます」
「はあっ!?」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください」
────────
本間大(51)
レベル36
称号:転生者
保有スキル:わっしょい!わっしょい!
HP:201
MP:9
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「いきなり草原かよ!」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊が…お祭り男の前に現れた!
「うばぁ!マジモンのバケモンだ!」
うろたえる、お祭り男。
スライムは今にも襲いかかろうとしている!
「ちょ!ヤベェ、なんとかせな!あ、スキルあるやんけ!《わっしょい!わっしょい!》て、神輿はどこじゃい!」
うばほん!!!
若鶏會の見事な神輿が出てきたぞ!
お祭り男も半股にハチマキ姿に衣装チェンジ!
みごとなみこしコブが輝いている!
その神々しい姿を見て、興味津々のモンスターたちが集まって欲しい来たぞ!
ばほん!うばほん!ばっほ、ばっほ!
参加を希望するみなさんが次々に衣装チェンジ!
華やかな集団は神輿を取り囲んだ!
「よ~し、みんなで神輿をかつぐぞ!配置は…あ、こっちあと三人来て!そぉれー!上がるよ!呼吸合わせて行くよ!はい、わっしょい!わっしょい!」
黄金の神輿が草原をゆく!
見物人たちが集まってきたぞ!
いつの間にか出店まで並んでいる!
なんという素早い対応、たくましい商魂!
「ふー、ちょっと休憩すっかな!」
小腹を満たそうと思ったお祭り男は、ドラゴンステーキ串と魔物ビールを買って豪快に齧り付…
「ぐべブォがー?!」
下処理が甘すぎたドラゴンステーキの怒髪天を衝くアクの強さがお祭り男を襲う!
あわててビールを流し込
「ぷきょっ?!」
コスト削減のためメタムン酸を使って作ったビールを飲んだお祭り男は絶命した。
お祭り男の亡骸は丁重に祠に納められ、1000日に一度の祭りの際にご開帳されて干からびた姿を晒しているらしい。
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
お祭り男は時間を巻き戻されて、コンビニの入り口前に立っていた。
コンビニの入り口で立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが…、それに気づく様子はない。
お祭り男は、コンビニでりんご飴グミとド派手なキャラもの手ぬぐいを買って家路についた。
家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。
「うわ…もう少し早く通りかかってたら、今週末の祭りも来週の山車祭りも再来週の豊作フェスもやばかった〜!」
お祭り男は、あらゆる祭りに顔を出しているうちにテレビ取材される常連になり、お茶の間の人気ものになりタレント活動を始めたのですが、油の乗り切った元気タレントと共に海外の豪快すぎる祭りに参加した際に負傷しあっという間に引退したのち、偉そうに文句ばかり言う町内のウザ爺さん化したものの、80歳でこの世を去った時は多くの人に棺桶を担いでもらって大満足で天に昇ったとのことです。




