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☆いきなり転生☆ さらに~   作者: たかさば


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30/104

絶対お金に困らない

佐藤博は、ごく普通の大富豪である。


毎日ガッツリ収入を得て、毎日どんどこ貯金が増えていく、齢58の大富豪である。


今日も今日とて、献金パーティーの上座でボチボチおいしいワインとチーズをいただいたあと、行きつけのコンビニでご祝儀袋と香典袋を買って家路についていた―――のだが。



キイキキィイ!!キ――――イイイイイイイ!!!


ドガ――――――――――――ん!!


ぐわしゃぁああ!!


ぶちゅ。




真っ白な空間。

佐藤博の魂と…、女神が対面している。


「佐藤博さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます」

「はあ」


「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください」


────────

佐藤博(58)

レベル86


称号:転生者


保有スキル:絶対お金に困らない


HP:30

MP:256

────────




「というわけで…、いきなり草原に移動ねえ。すごいな、このシステムは…運営が優秀なんだろうね」


べよん、べよん。


水色の、ぶよぶよした丸い塊が…大富豪の前に現れた!


「これはスライムか…。さて、コミュニケイションはどのように…できれば、争うことなく円滑にお願いしたいものだが…」


落ち着いて状況把握しようと試みる、大富豪。


「保有スキル《絶対お金に困らない》というのは、この場で利用できるものなのかね?…できるから、ここにあるのだろうが…ふうむ」


うばほん!


大富豪の前に、日本にいるときに所有していた金額と同等のMARU(この世界の通貨)が現れた!!

金属製コインにシュブルア札(折りたたんで持ち歩けるおよそ10センチ四方の薄い貨幣)各種が、透明な建屋の中にみっちりと埋まっているぞ!!

ファッサファッサと降り積もっているのは…現在も資産が増えているかららしい!!


スライムは大量のお金を目の当たりにして、興味津々だ!

食べてもうまくはないけれど、チャリンチャリンばっさばっさと増えていくの…見てて面白ーい!


「これを元手に何か面白い商売でもできればいいのだが…。まずはこの地を知り、文明を確認して信頼を得て協力を…」


腕組みをしながら模索していた大富豪を、千里眼スキル持ちの盗賊のおかしらが発見した。

見たことがない大金がある事に気付いたおかしらは、投擲スキルのスペシャリストに大富豪を抹殺するよう命令した。


「…ウッ」


大富豪はどこからともなく飛んできた猛毒のくさびを打ち込まれ、絶命した。

スライムは大富豪の亡骸を余すことなく捕食した。


数日後盗賊団が透明な建屋のところに到着したが、あっさりスライムに捕食され壊滅した。


なお、建屋には出入り口がなく、今現在もファッサファッサとお金が降り積もっている様子をひけらかし続けているという。




「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」


大富豪は時間を巻き戻されて、コンビニの入り口に立っていた。

コンビニの入り口のところで立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが…、それに気づく様子はない。


大富豪はコンビニでご祝儀袋と香典袋を買って家路についた。


家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。


「もうちょっと早く通りかかってたら、自分が香典を貰う事になっていたのかもね…、孫を抱く前にそれは悲しいぞ」


大富豪は、早まった娘の出産に靴ひもがちぎれてブカブカしているスニーカーと破れて穴が開いたパーカー姿で駆け付けて笑われたりもしましたが、常に場をわきまえ己のすべきことを慎重に吟味して納得したうえで選択&決断するという基本姿勢を崩すことなく経営に精を出し、自分が認めた人たちと共に真摯に仕事と向き合い、多くの信頼と感謝の言葉その他もろもろを受け取ったのち、息子にあとは任せると微笑んで肩を叩き引退し、奥さんの実家へと移住したのち家庭菜園を楽しみながらおだやかな生活を続け、88歳で風邪をこじらせこの世を去ったそうです。


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