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娘の極秘任務【マリー視点】

ギルベルトとシトラの娘、マリー視点です。



私の名前はマリー、中々裕福な国の第一王女をしている。

お母様譲りの焦茶色の髪に、お父様譲りの青い瞳を持っている8歳の女の子。まぁまぁマセている自覚はある。けれど非行に走る事もなく、国の姫としてしっかり公務もできているし、優秀なんじゃないかと思う。


私の話は置いて、本日は私の父と母の話をしよう。

父はこの国の第二王子で、娘が言うのもなんだが非常に美しい金髪碧眼の美男だ。とても8歳の子供がいるように思えないので、他国との会談の時はよく姫達に言い寄られている。だが優秀でもあるのでスマートに断っており、それがまた素敵とメイド達が井戸端会議で話していた。娘をとても愛してくれて、忙しいのに食事は毎日一緒に取ってくれる優しい父だ。


そして母だが……母は何というか、すごい勢いがある。生まれは異世界で、約500年前にこの国を建国した聖女なのだが……まぁ、色々あってこの時代でハリソン公爵家令嬢として生きて、色々あって父と結婚した。この国の生まれと思えないほどの容姿で、とても幼く見える顔立ちだ。父と並ぶと歳の差があるのかと思われるが、同じ歳だ。この国の王子妃として、そして聖女として国を支えているが、まぁまぁ色々やらかすので「建国の聖女」の他に「爆裂の聖女」と呼ばれている。理由は想像してくれ。




大体の者は、母が望んで結婚をしたと思っているが、それは間違いである。祖父である国王陛下も、「ギルベルトが無理矢理結婚したようなもんだ」と言っているし………いや、言葉より実際に見せた方が早いかもしれない。丁度今、父の執務室に来ているので、こっそりドアを開けて、一緒に覗き見しようじゃないか。



中を覗くと、そこには美しい顔を歪ませて、頬を赤く染める父がいる。壁に誰かを追いやり逃げ場を両腕で無くしているが、その誰かとは母だ。もうめちゃくちゃ真っ青な表情をしている。父は興奮した様なため息を溢す。


「この前の会合、終わったら私と朝まで一緒にいてくれると言ってましたよね、シトラ」

「違います違います!「会合が終わったらゆっくり2人で食事しましょう」ですよね!?どうした!?想像力豊かだな!?」

「大丈夫です、ベッドで寝てれば終わりますから」

「いやいや!?絶対嘘ですよね!?寝させないですよね絶対に!?」

「そろそろ2人目も欲しいと思いませんか?」

「あっこれ話聞いてないな!?」


……お分かり頂けただろうか?あの獣の様な目つきをしている父、そして恐怖で怯える母。


この光景を最初に見たのは当時4歳、私はまだ汚れを知らない幼児だった。……懐かしいなぁ、あの時は両親と一緒に寝たくてそっと扉を開けたら、父が母の寝巻きを無理矢理脱がそうとしてたっけ?その時4歳ながら静かに扉を閉めた私は素晴らしい、ファインプレーだ。


外では完璧超人な父だが、母と二人きりになった途端に化けの皮を剥がす。最初こそは母から習ったでぃーぶぃ、と呼ばれるものかと思ったが、長年見ていると分かる。あれは外では母とイチャつけないのが溜まってああなっているのだと。本当にもう、8歳の子供がいる父じゃないだろ、獣かあの父は、どんだけ好きなんだよ引くわ。


……おっと、ここで見ているだけかと思ったのか?そんな訳ないだろう、私はあの変態父から大好きな母を助けなくてはならない。父は尊敬しているが、やはりイチャつくならお互いノリに乗った時にしてほしい。こんな所がマセていると言われている所以だが気にしない。


「おとうさま〜いっしょに遊ぼ〜!」

「っ!?」


可愛らしい声を出して扉をゆっくり開ける。父は娘の登場に驚き母から離れる。そのまま私は部屋の中へ入り、あざとく首を傾げる。


「あれぇ?おかあさまも遊びにきたの?」

「マリー!!!そう!遊びに来たの!私は健全に遊びたいの!!」


母は涙目になりながら私に抱きつく。少々苦しいが、大好きな母の匂いに囲まれてとても幸せだ。後ろで父が慌てて服を整えているが、それ見えてないと思っているのか?アホか?


「おとうさま忙しそう、おかあさま遊ぼう?」

「うん!うん遊ぼう!一刻も早く遊びに行こう!!」


母は嬉しそうな顔で私の手を繋ぎ、「では娘と遊んできますので!」と父に力強く伝えて早足で執務室から出ていった。少し振り向くと、父は熱っぽい目で母の背中を見ていた。これも見てないと思ったのか?やっぱアホなのか?



そんなこんなで本日も、エロ親父から母を守る事ができた、最高だ。私は手を握っている母を笑顔で見て、今から何をして遊ぼうか話し合う。……これからも母を守るべく、私は純粋無垢な少女を演じよう。やれば出来る子マリーだ!







私が意気込んでいる時、母は遠くの方を見ながら呟いていた言葉は、私の耳には聞こえなかった。




「………今日の夜、私気絶しないといいなぁ」

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