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Trans Lover's  作者: 霊雨
11/20

ep10

ひっさしぶりの更新です! すんません!

 ミンミンとセミが鳴く、毎年飽きずに蒸し暑い季節がやってきた。


「あづい」


 中学校最後の夏休みだった。




 今日は近くのショッピングモールに買い物に行く予定だ。この3年間で俺も大分慣れてきたし、おそらくは大丈夫だろう。未だに学校で話す男子といえば、谷坂を始めとした元々小学校が一緒だったやつら数人くらいだけど。

 それ以外はなんか寄ってこないし、谷坂も杏子と仲が悪いのか俺と杏子が一緒にいるときは大体話しかけてこない。目が会えば直ぐにガンを飛ばし始める二人はここぞという場面では息が合っていることが良くある。もしかしたら……そういうことなのかもしれない。


「月乃……何か変なこと考えてない?」


 不意に俺の隣を歩く私服姿の杏子が顔を顰めながらそう言ってくる。


「やっぱり谷坂とお似合いだなぁ……って思ってた」

「あんたは毎回……どこからそう思うのよ……」


 俺がそう言うと杏子はさらに顔を顰めて嫌そうな顔をする。そんなに嫌なのか……? いや、照れ隠しかな。


 それはそうと、何故こんな熱い日にわざわざ外に出ているかというと、今日は杏子と他若干名でショッピングモールに行くからだ。別に俺は行きたかった訳ではないが若干名の方が懇願してきたので俺が折れた。わざわざ買うものなんてないんだけどな。

 というわけでさっきも言ったとおり杏子は私服、勿論俺も私服だ。杏子は動きやすそうなザ・活発系女子というような感じの格好だ。なんていうんだっけ……カットソー? ショートパンツっていうのか? 毎回思うが種類多すぎじゃないのか……俺の知識では上はシャツ、下はズボンなんだけど、パンツってなんだよ下着かよ……


「それよりも……月乃の格好はどうにかならなかったの?」

「ん?」


 杏子に言われて自分の格好を見直してみるが……特に可笑しい所はないはずだ。

 上はそれとないTシャツ、下はデニム、靴も動きやすいスニーカー、完璧じゃないか。


「それ……あの変態(香苗)が見たら発狂するわよ……?」

「なんでだよ、格好良いし」

「なんで格好良くしちゃったのよ……」


 額を抑える杏子に俺は?マークを浮かべることしか出来なかった。

 これの何が問題だというんだ……




「あああああああ!!!」

「うるさい!」

「ふぐぅっ!?」


 待ち合わせの駅前で俺を見つけた鳥遊里が絶叫して杏子に腹パンされるまでが約数秒、どうしたというんだ。

 あ、ちなみに若干名と言っていたのは鳥遊里と北条、そして薫……広瀬の3人だ。今回みたく度々あってるからその3人も特に初対面というわけではない。


「あ、いた〜月乃ちゃ〜ん」

「あぁ! お姉さ……マ゛!?」


 家が同じ方角のため、電車に乗ってきた薫と北条が駅から出てきた。薫は相変わらずのんびりとした口調で俺をよび、北条は女子が出してはいけないような声を上げた。


「ああああああっ!!!」

「うるせぇ!!」

「ふぐぅっ!?」


 鳥遊里と同じように絶叫を上げた北条は額に青筋を浮かべた杏子に腹パンされて沈んだ。

 何回同じことを繰り返せば気が済むんだこいつらは……


「つ、月乃ちゃぁん……」

「おねぇさまぁ……」


 ねっとりとした呻き声に似た声をともに、かなりの威力を誇る杏子のパンチ――勿論手加減してると思うけど、してるよな? ――を腹に受けて若干グロテスクになりながらもぬらり、と鳥遊里の北条はふらふらと立ち上がってきた。ゾンビみたいだな、こいつら。


 呑気にしていると、素早く近づかれた鳥遊里に肩を掴まれて前の後ろにと肩を揺らされた。


「な、なんて格好をしてるんですかっ!!」

「そうですお姉さま! もっとこう……女の子らしい服をですねっ!」


 またそれか、毎回言ってくるんだよな……スカートなんて履かないってずっと言ってるんだが一向に諦める気配がない、どうしたものか。

 そもそも俺の部屋のクローゼットにはそういう感じの服はほぼ無いからな、念の為に何着かかけてあるが着ることはおそらくないだろう。


「諦めろ」

「「殺生な……!」」


 大げさすぎるわ。


「ほら、さっさと行くわよ」

「お前らも元気出せよ」

「うぅ……!」

「せめて杏子さんと同じショートパンツに……!」


 鳥遊里にそう言われて杏子の方をみる。

 すらっとした脚が眩しい、健康そのものだな。しかし……ちょっとキツイかな。


「いや、あんまり脚出したくないんで」

「殺生なぁ……」


 俺の返答に鳥遊里はすがるように手を伸ばしてくる、取り敢えず手を取ってブンブンと振り回しておいた。


「まぁ、私もその格好はどうかと思うわよ」

「えー……?」

「月乃ちゃん可愛いんだから一回くらい女の子っぽい格好してみようよ〜」

「いや……まぁ、うん。いつかな」


 ただし着るとは言っていない。




「ん?」


 杏子たちとの買い物の途中、俺はある光景を目にした。

 綺麗なドレスが入ったショーウィンドを見つめる少年……?

 疑問形なのは、服装からみて少年なだけで、顔だけみると完璧に少女だったからだ。美少女というにたるその顔にはミスマッチな男性用な服、正直どっちか分からん。


「どうしたの?」


 立ち止まった俺に気がついたのか、杏子が戻ってきた。

 それに続いて他の3人も戻ってきた。


「いや……あの子を見てたんだよ、ほら……そこのショーウィンドの……」

「あら、なかなか可愛い方ですわね」

「あの方も男性の服装をしていますね……もしかして流行ってるのでしょうか……」

「それはないわ」

「ですよね」


 まぁ……ボーイッシュとか言われるメンズもどきみたいなのはあるが……あそこまで極端なのはそう見ないな、いや……それは俺か。


「どっかで見た顔ね……どこだったかしら」

「知り合いか?」

「どこかで見たはずなのよ……どこだったかしら」


 うんうんと頭を捻る杏子よりも先に答えを見出したのは薫だった。


「あ〜あの子、天笠(あまがさ)君じゃないかな」

「天笠……君?」


 君ってことは……


「「「男!?」」」


 俺、鳥遊里、北条が声を揃えて驚愕の声を上げる。

 いや、男かな〜とも思ったけどあの顔はないだろ……女じゃん最早……普通に女子校にでも通えるクラスだぞあれは。


「あ〜思い出したわ、同じ学年に女子みたいな男子がいるって噂になってたわ」


 驚愕する俺たちにやっと思い出したというふうに杏子がそう付け加える。

 天笠弥里(みさと)、これが彼の本名らしい。というか噂になってたのか……3年間も同じ学年だったけど全く知らなかった、あの容姿だと大分目立つ筈だけどな。


「まぁ正体は分かったとして……何やってんだ?」


 未だにショーウィンドの前でボーッと佇んでいる美少年を眺めながらそう疑問を零す。


「さぁ? 欲しいんじゃない?」

「ドレスがか?」

「そういう風にしか見えませんわね……」


 鳥遊里の言葉に「確かに」と他全員が頷く。

 ショーウィンドを眺める彼のその表情は、ドレスに憧れる少女のそれなのだろうか。


「ヒノ?」


 5人で固まって件の美少年、天笠を眺めていると後ろから聞きなれた声に呼びかけられた。

 後ろを振り向くと2人の見慣れた男が2人、谷坂と井上だ。井上も小学校での知り合いで、良く谷坂と絡まり合っていた男子だ。

 どちらもなかなかに女子にモテる、谷坂は何故か頑なに断り続け、井上に限っては鈍感過ぎて恋が実っていない、いつも「出会いが欲しい」とぼやいては同じクラスの男子に小突かれている。


「どうした谷坂」

「そりゃこっちの台詞だ……女子5人が固まって異様な光景になってたぞ」


 女子5人が固まってショーウィンドを眺める美少年を眺めている光景か……確かに異様だな。

 俺が谷坂と話していると、俺の前に音もなく杏子が出てきた。チラリと見えた杏子の顔は喧嘩を始める不良のソレそのもので、杏子が出てきたことで谷坂の顔もすぐに歪んだ。


「「チッ」」


 怖い。

 同時に舌打ちをしたあとはいつも通り口論になる、ただ場所はわきまえているのかいつもよりも声量が小さめだ、そこまでするなら喧嘩しなけりゃ良いのに……

 そういえば……と思い出してショーウィンドの方を見てみると、そこには既に少年の姿はなかった。どうやら騒ぎ始めた俺たちに気がついて何処かに行ってしまったようだった。学校で会えるけどな。


「大体いつもいつも――」

「はぁ? お前思い込みも大概に――」


 それよりもまずはこいつらの喧嘩を止めるか……




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 そんなこんなで桜が舞い散る3月、時間が過ぎるのは早いね。卒業式も既に終わった、校長の話は相変わらず長かったよ。


「うあぁ……卒業かぁ……」

「意外と早かったわね」

「でも高校は一緒だよね〜」

「そうだな」


 俺、杏子、薫は全員同じ普通科の公立高校だ、谷坂はどうやらもう少しランクが高い進学校に行くらしい。元々は俺もそっちに行かないかと先生に勧められたんだけど、そこまで良い学校に入りたいわけでもないから遠慮しておいた。谷坂にも同じ様なこと言われたな「勿体無い」とかなんとか。でも勉強勉強で雁字搦めにはされたくないからな、自由に生きたい。


「そういえば結局例の天笠君とは出会わなかったな……」

「そういえばそうね、本当に同じ学年なのかしら」

「う〜ん、学校じゃ地味な格好でもしてるんじゃない?」


 薫の意見に確かにあの顔なら目立つだろうしな、と俺も同意した。マスクとかして隠してるのかな。


「でも聞いたところによると、天笠君も同じ高校に行くらしいよ」

「ほぉ、じゃあまたどっかで出会うか」

「対して興味もないから私はどっちでもいいわね」


 杏子は本当に興味がないようで、つまらなさそうにそう言った。

 俺は結構興味あるけどな……なんというか、親近感が湧くんだよな。男なのに女っぽいっていうのが、俺も男から女になった身だし、男になんてまるで興味ないからな。いつぞやの修学旅行で恒例らしい好きな人を聞かれたときに真顔で「興味ない」って言ったら全員驚いてたからな。まぁ杏子もいなかったけど。


 それにしても……高校か……前世では中学以降のことはあんまり覚えてないし……一応は高校までいったのかも知れないけど、実質始めての高校だ、胸が高鳴るな!

やっと高校に入った……実はここまで前座なんですよ、高校から本編です。

取り敢えず次回からは筆は早くなると思います……思うんですけどねぇ……


読了感謝です、次回は未定! 1週間以内には上げたいですね!

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