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腹の中
「……どうやら、俺達は既に何者かの腹の中っつう訳だなこりゃ」
ヴァルドレッドがドアノブから手を遠ざけると、ドアノブは元の素朴な形に戻った。
ヴァルドレッドはプルートでドアごと吹き飛ばし、ロウの手をひきながら廊下に出た。
「ちっ、面倒くせぇ事になっちまったなぁ」
廊下は不気味なまでに鎮まりかえっていた。
人もはおろか小さな虫や漂う空気さえも死んでいるような、生き物がいる気配がまるでしない。
「なっなんでこんな!?」
「ピーピーうるせぇぞ、もやし。 この宿全体が初めから魔物だったんだ、俺達はまんまと罠にはまっちまった、そんだけの事だよ」




