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視線
「何者かって、相手は人間なんですか?」
「さぁな、それすら分からねえ。 ただまぁ、今の段階で言えることは、そいつは俺達が邪魔でしょうがねぇみたいだな」
歩きながら、ヴァルドレッドは平然と言う。
彼女からしてみれば、こういったトラブルはそこまで恐れを抱く程のモノでもないらしい。
むしろ、どちらかと言えばトラブルの方が多いと言えるだろう。
ロウはただ、彼女の日常に巻き込まれただけに過ぎないのだ。
「ちっ、嫌な気配がそこかしこからしてきやがる。 逃げるのは無理っぽいな、こりゃあ」




