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月を染めゆく緋色のベルベット  作者: 藍スミレ
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帰還

「生きてるかー!! もやし〜!!」


 突如、ドアが勢いよく開かれた。

 間もなく、全身に闘気を漲らせたヴァルドレッドが部屋へ入って来た。


「へあ!? え、はっはい!」


 慌てふためくロウの顔を、ヴァルドレッドはまじまじと見つめ、すぐに部屋を見渡し始めた。


「すぐにここを出るぞ、どうやら面倒なヤツに目をつけられちまったらしい」


 ヴァルドレッドはベッドに置いてあった、荷物が入った皮袋を担いで、ロウの手を引く。

 凄まじい力にロウは抗えず、半ば引きずられるような形で、二人は部屋を出た。

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