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喧騒
「ん? おいっコイツ気がついたみたいだぜ」
誰かの声が、ロウの鼓膜をつんざいた。
どうやらかなり興奮気味のようだ。
「ここ……は…」
疲労で瞼が鉛のように重い。
ロウはせめて、脱獄する前に食事を済ませてから、もしくは食べ物を盗んでから逃げるべきだったと、酷く後悔した。
上体を起こして、はらりと布がめくれる。
いつの間にか、ロウの体にはローブがかけられていた。
「お前、頭イかれてんじゃねぇのかぁ? なんの備えも無しに、無尽の砂漠に足を踏み入れちまうなんてよぉ!」
ロウは肩をバシバシと手で叩かれながら、状況を把握しようと必死に考えていた。




