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月を染めゆく緋色のベルベット  作者: 藍スミレ
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気がつけば

 気がつけば、何やら騒がしい喧騒が耳に入る。

 怒鳴りあっている声、必死に謝っている声、それらを仲裁しているかのような声、など。


 ロウは心中で歯噛みした。

 せめて、見つかるのが上下関係のない人達であれば良かったのにと。

 社会を知っている者ならば当然、脱獄した奴隷の使い道を知っている筈だ。


 もしも他人が脱獄した奴隷を見つけた時、その奴隷の印の形を見て、その販売元の奴隷業者へ売りつける場合が多い。

 厳密には、脱獄した奴隷を返す時に謝礼金を要求されるのだ。

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