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月を染めゆく緋色のベルベット  作者: 藍スミレ
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もはや

 もはや、この景色に終わりは無いのではないか。

 そのような疑問が、ロウの心中を万力のように掴んで離さない。


「食べ物も……盗ってくれば、よかった」


 このような灼熱の大地は、夜になると極寒になる場合がある。

 もしも、ここら一帯がそうなれば、毛布も何も持っていないロウは、いよいよ駄目かもしれない。


「どうしよう」


 吹き出す汗が頬を滴る。

 先の景色が熱気でゆらゆら揺らいで見える。


「せっかく……逃げ出せ…たのに……」


 気がどんどん遠くなる。

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