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月を染めゆく緋色のベルベット  作者: 藍スミレ
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果てはなく

 川を下ってから数十分が経った。


「暑い」


 太陽から降り注ぐ陽光は、容赦なくロウの体力を奪い続ける。

 歩けども歩けども、見える世界に変化はない。


「せめて、何か食べる物とかないかなぁ」


 周りには危険な動物などはいない。

 しかし、そのかわりに食べられそうな物も見当たらない。


 元々空腹には多少強いロウでも、長時間にわたって灼熱に身を晒し続ければ、いずれ力尽きる。

 このような、人はおろか獣すら見当たらない土地で、そのような事があってはもう助からないだろう。


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