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見知らぬ土地
「ここ、は?」
教養がないロウでも、奴隷として働く為の必要最低限の知識だけはある。
例えばこの世界は戦争が絶えない事。
その戦争から引き取られた子供達のほとんどが、奴隷となってひたすら働かされる事。
そして、この世界は基本的に植物に覆われている土地が多い事だ。
「何も無い……」
人も、緑も、建物も。
あるのはひたすら照りつける太陽の光と、ロウのすぐ側を流れる川のみ。
教養が無くとも、この灼熱が占める環境で川の側を離れるのは自殺行為だと直感でわかる。
そして大抵、川の側には村などがある事も、奴隷時代の経験で知っている。
ロウはとにかく川を下って、村を目指す事にした。




