77/101
今は
脱走に気づいた看守達はしつこく声を荒らげて追ってきたが、最終的に近くに流れていた川へ飛び込む事で、ようやく諦めた。
しかし、思ったよりも川の流れが激しく、生まれてこのかた自分の身長よりも深い水の中を泳いだ事の無いロウにとって、それは大きく災いした。
ロウは水中で上下のバランスを失い、そのまま気を失ってしまった。
やがて目が覚めると、そこは見知らぬ土地。
地面に水気はなく、ヒビ割れ、チリチリと体を灼く太陽の灼熱が辺り一帯を支配していた。
人影はない。
どころか、太陽の光を妨げられる植物の緑すら一切見当たらない始末だった。




