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月を染めゆく緋色のベルベット  作者: 藍スミレ
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部屋にて

 ヴァルドレッドが散歩へ出かけた後、ロウは変わらずベッドに寝転んで、意味もなく天井を眺めていた。


 まだ出会ってほんの数週間。

 血が繋がっている訳でもなく、かといって幼少の頃からの馴染みという関係ですらない。


 言ってしまえば、赤の他人だと言えない事もない。

 ただ単に、お互いにアテがないから獣を狩って、その毛皮や肉などを売って、その金で宿に泊まっているだけの事。


 だが決定的に違う事が二つ、一つは育ち。

 片や肉親の顔と名前すら分からない、珍しいアルビノの元奴隷。

 片や栄えある王国の由緒正しい家系に生まれた、百戦錬磨の大騎士。


 そしてもう一つは目的の有無。

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