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月を染めゆく緋色のベルベット  作者: 藍スミレ
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気配

 鞘に納めた剣の柄に手が伸びる。


「今すぐ出てこねぇなら、ここら一帯を塵にしてやってもいいんだぜ」


 ヴァルドレッドから周囲に熱が走る。

 真夜中の凍えるような冷気は消えさり、地面はヴァルドレッドの足元を中心に少しずつ干上がっていく。


 姿を表せば即座に斬り捨てる。


 狙うは首。

 例えしくじったとしても、深傷は負わせる。


「随分と臆病な野郎だな、攻撃くらいしてこいよ!」


 咆哮は虚しく宙に消えた。

 相変わらず、攻撃してくる気配はない。

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