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月を染めゆく緋色のベルベット  作者: 藍スミレ
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老い人

「まぁ、老人だけって訳じゃあねぇけど」


 決して老人しかいないという訳ではないが、それでも今までヴァルドレッドが渡り歩いてきたどの町よりも、多い。

 少なくとも、騎士時代に訪れていた時にはここまで多くはなかった。


「なんか嫌な気配がするなぁオイ!」


 不意に、背後から不気味な気配を感じる。

 全身に粘つくような感触の視線。


 ヴァルドレッドは背後に咆哮を送るが、何かが動く気配がない。


「まぁ人間ではないだろうな、こういう訳わかんねぇ事をよくすんのは大抵モンスターの類だ」



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