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月を染めゆく緋色のベルベット  作者: 藍スミレ
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後に

 手に力を込めると、刀身が薄く緋色に輝いていく。


「あの爺さんの腕は本物だ。 依頼した物が完成したら、俺の剣と負けず劣らずの品がお前のモンになる」


 ヴァルドレッドは剣を鞘にしまった。

 そして後ろを振り返り、横たわっているロウの目をジッと覗き込んだ。


「お前には才能がある。 ああ、別に剣の才能とかじゃあないぞ。 なんつーか、人を導く才能つーのかな」


 言って、ロウの額を指で突いた。


「まぁ、自覚する必要はねぇ。 いや、むしろしない方がいいのかな、この場合は」


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