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承諾
「良いだろう、その条件飲んでやる」
即答だった。
特に深く考える素ぶりもなく、条件を聞いたその約二秒後に答えを返した。
「………けッ、手前の命は惜しくねぇってのかい、大騎士様よぉ」
生返事、という訳ではない。
ヴァルドレッドの発した声色には、歴戦の戦士特有の凄みと圧が感じられる。
「だ、駄目ですよ! いくら何でもそんな条件」
普段ならば、ヴァルドレッドの性格と荒い気性からあまり強く意見を言わないロウだが、この時は思わず声を荒らげていた。
しかし、そんなロウの諫言も、ヴァルドレッドは意にも介さない。
「まぁ、本当は最後まで隠してようと思ってたんだけどよ、この際だから言っとくぜ、ロウ」
ヴァルドレッドはロウと目を合わせ、静かに語る。
「俺は初めからそのつもりだったんだ」




