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月を染めゆく緋色のベルベット  作者: 藍スミレ
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答える前に

「まぁ、いくら考えようとイエスの答えを聞くまで引かねえけどよ」


 腕を組んで椅子に背もたれるヴァルドレッド。


「だそうです。僕も半ばこんな感じでいつも危ない目に遭わされているので、逃れる術はないと思います。あるのなら僕が知りたいくらいです。そして助けて下さ……」


 言いかけた所で、ロウの頭に重い拳骨が落ちた。

 ちゃんと手の鎧だけ外して殴ってはいるが、彼女の拳は握れば小さな岩のように硬く、鈍い。

 まともに殴られれば、脳を揺さぶられてすぐに気を失ってしまうだろう。

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