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弔いの代価
「……ふん、後には引けねぇってかい」
「当然だ、あれだけの事をしたんだ。最後まで抗う義務が俺にはある」
つい先程まで陰りがさしていた瞳は一転し、熾火の如く燃え上がっていた。
もう既に、弱々しく言葉を紡ぐ彼女はいない。
ガインの目の前にいるのは王国を在るべき姿へ戻さんとする叛逆の騎士ヴァルドレッドであった。
「その抗いに、俺も付き合えってぇのかヴァルドレッドさんよぉ」
「ああそうだ、大いにそうだとも。爺さんには俺の叛逆に地獄まで付き合ってもらう。爺さんの仲間の何人かは、俺以外の奴に理不尽極まりない理由で殺された奴もいるんだろ?」
「………まぁな」
ガインの脳裏に、無念の内に散っていった同胞達の顔が蘇えった。




