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月を染めゆく緋色のベルベット  作者: 藍スミレ
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呪い

 渡されたコインには、乾いてパリパリになった血痕がついていた。


「その血痕を見る度に、思い出しちまうんだよ。焼けていったかつての仲間(あいつら)の顔と声がさ」


 暗く淀んだ声で話すヴァルドレッド。

 その赤く輝く瞳からは、僅かに光が失われていた。


「けど最近じゃあ、夢にまで出てきやがる。だからここ最近ロクに寝れてねぇんだ。眠いったらありゃあしねぇ」


「……ふん、ただの自業自得じゃねぇか。いい気味だぜ」


 渡されたコインを机に置くガイン。


「ああ。でもだからこそ引けねぇし、死ねねぇ。死んじまったらあいつらの弔いもできねぇからな」



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