32/101
鍛冶場へ
ライグスを出て数日。
燦々と輝く日の光を全身に浴びながら、ロウとヴァルドレッドは次の目的地へ足を運んでいた。
「ライグスを出てから結構経ちますけど、まだ着かないんですか、その刀鍛冶の場所」
「いんや、もう少しの筈だ」
歩きながらに、ヴァルドレッドは遠くを見据える。
一方、ロウはその言葉はもう聞き飽きたと言わんばかりに、溜息を漏らす。
結局、彼女達はチェックインした宿を半日で出ていく羽目になった。
敵であるレイスを葬った以上、すぐにその場を離れなければ、すぐに追っ手に見つかってしまうからだ。
できる事ならもう少し、チェックインした宿の一室でのんびりと過ごしていたかったロウ。
決してお世辞にも綺麗とは言えない安い宿の一室でも、寝られるベッドと雨風が凌げる壁と天井があれば、文句など出よう筈もない。
ましてや、歩いてようやく着いた矢先ならなおさらである。
しかし、最終的には仕方がないと、ブスブスと燻る胸の蟠りを心の奥にしまい込むロウであった。




