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八割
集められた破片は、全部でおよそ八割。
折られた際、周囲に飛び散った小さな破片は破城の聖剣の熱で溶解し、使い物にならなくなってしまったらしい。
「まぁ、これで十分だろ」
集めた破片を、懐から取り出した大きな布で丁寧に包んでいくヴァルドレッド。
「どうするんですか、ソレ」
「ああ? んなの打ち直すに決まってんだろ」
彼女は固く結んだ大きな包みを肩に担ぎ、スタスタと元来たライグスまで歩いていく。
「おら、早く来ねぇと置いてくぞ」
慌てて彼女の後を走るロウ。
その様子は、親の後を必死で追う子供のようであった。




