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目
頭が某とする。
心地よいぬるま湯に脳みそが浸っていくようだ。
「バカだなぁ、お前も」
ヴァルドレッドはレイスの傍らで座り込んだ。
親しい友人に話しかけるような、不治の病に犯される病人に話しかけるような、気をつかいながらも気をつかわせない口調で言葉を紡いでいく。
「結局、最後まで自分達のしてる事が正しいって疑いもしなかったなぁ」
もはや言葉を伝える力も残っていない。
喋ろうとすれば、穴の空いた袋から漏れる水のように、口から血が流れていく。
だが彼女は、長く戦場で背中を合わせてきた戦友の目を見て、言葉を介さずとも何が言いたいかを本能的に理解した。
否、目を見ずとも予め悟っていただろう。
「まぁ、自分達のしている事を理解してたら、死ぬよりも辛いだろうけどよ」




